環境 Feed

2017/01/31

日ノ出と日の入り

 我が家は標高1000mの森の中にあります。毎朝、6時半頃起きるのですが、この時期はまだ日の出前で森の中は薄暗い状況です。朝食を取りながら外を見ると食卓から見える森の向こうから7時過ぎに太陽が昇ってきます。

 そして、日に日にその位置が北側に移動していきます。それでも日によって「アレッ?今日は何だか少し陽が昇ってくるのが遅いな」と思っていると東側にある高い山の頂上付近に差し掛かって陽が出るのが遅くなる事もあります。

 都会と違って周りに一切の人工物がないので森の中から上がってくる太陽は本当に美しいものです。そして、徐々に日が昇り今度は日没の時間帯になると今の時期、太陽は南アルプスの頂きにゆっくり沈んでいきます。日の出と同じように高い山の頂に近い位置に沈むときはいつもより少し早く夕暮れが訪れます。

 南アルプスの山の影が徐々に八ヶ岳に掛り始めると条件さえ良ければ八ヶ岳が夕焼けに染まって真っ赤になり、それはそれは美しい「赤八ヶ岳」の姿にお目にかかる事が出来ます。

 現代は猛スピードで色々な事が進んでいきますが毎朝、ここ八ヶ岳の森の中で見る、夜明けと夕暮れの自然の営みは長年、変わらない時を刻んでいます。

 変革の世の中だからこそ変わらないこの自然の営みが何だかとても嬉しくなります。

2008/06/01

2008 八ヶ岳の森つくり

20080601_155659906 今日は半日、景観の会の仲間と近くの会員所有の森の中に入り今年から新たに始めるこの森の整備方針について話合いました。自然の森の姿が残る広大な針葉樹と広葉樹が適度に混合した森は比較的、下草も少なく整備が進めば美しい森に生まれ変わる事と思います。今後、数年間に渡り楽しみながらこの森を徐々に整備していく予定です。

 そんな森の中で話し合いをしている最中に知り合いから連絡が入り、近くの土地に隣接した小川に鹿の死体がありこの小川を塞いでしまい小川が溢れているので見に来て欲しいとの事。鹿?死体?川が溢れている?何だか頭の中で想像しただけでコリャ大変だ~と思い、早速駆けつけると確かに小川が溢れて隣の家の庭に溢れている。しかし、鹿の死体らしきものは無い。「何処にあるんですか?」と聞くと「ホラッあっちの桝のそば」と指差す方を見ても鹿の姿は全く見えない。「どこ?」と近づいていくと異様な臭いが周囲に溢れている。「何、この臭い」と思い小川の岸辺を覗くと、ありました。鹿の足が・・・「胴体はどこ?」ときくと河原の反対側に肋骨と頭蓋骨が横たわっており・・・「うわ~~~」「ねっ!凄いことになってるでしょ。私知らずに触っちゃってもうパニック・・・」確かにこりゃ驚くわな状態・・・

 結局、余りの異臭に自分達ではとても処分出来ずに役場に連絡して処理して貰う事にしました。苦労を掛ける役場の係りの人には申し訳ないと思うけどあのデカイ異臭を放つ物体を自分達で何とかするのはとても無理と判断。まだ、昼飯も食ってなかったので余り見たくない光景でした。

 そういえば最近、良く鹿の群れにこの周辺で出会う事が多くなっていました。暖かくなって山の上のほうにも充分食糧があると思えるのに何故、人里まで下りてくるのか分りませんが本当に最近、多くの鹿の群れに出会います。

 以前、宣言したように最近は車ではなくスクーター通勤を心がけているので良く今まで出会っていた鹿や狐やアライグマと生身のまま出会うのでちょっとビビッテいます。今までは車の窓越しだったのでそれ程怖くなかったけどさすがにスクーターで出会うと万一ぶつかると確実にこっちが吹っ飛ばされてしまうし。狐やアライグマもこっちに向かってこないとも限らないし・・・なんて考えるとちょっとビビッテしまいます。マア、普通に考えてこちらに向かってくることは有り得ないけどね。

 そう言えば今朝、小海線の線路を渡るときにフト横をみると狐さんが前足を線路の上に乗せてこちらをジット見ていたな~。思わずカメラに手を伸ばそうかと思ったけどほんの一瞬だったのでアット思った時にはこちらが通り過ぎていました。あの狐は前足をレールの上に乗せて何を思っていたのでしょうね?もしかして遠い旅立ちの途中だったのでしょうか?しかし絵になってたな~映画なら絶対、使う写真のチャンスだったよな。

 暖かくなって森の生き物達も活発に活動し始めました。

2008/02/10

今年は雪が良く降ります。

Yuki 今年はよく雪が降ります。昨シーズンは全く雪が降らなかったのと大違いです。地球温暖化が進むと旱魃と豪雨を繰り返すと言われていますが何となくいやな雰囲気です。そういえばアメリカでは季節外れの竜巻が暴れてかなりの被害が出ているようです。

 私が今読んでいる本では将来の地球像を予測しています。例えば我々が経済の発展と共に排出したフロンガスを例にとるとこのフロンガスがオゾン層に到達するには数十年の時間がかかるそうです。このフロンガスが我々を紫外線の影響から防いでくれているオゾン層を破壊します。つまり今問題になっているオゾンホールの拡大は実はこれからが本格的になってくるのです。このフロンガスは開発された当初は将来に計り知れない可能性を生み出す画期的な発明ともてはやされました。その時期、よもやこの画期的発明となったフロンガスが地球の環境に深刻な影響を与える結果になるとは誰が想像したでしょうか?結果的に人類の経済発展と環境破壊は表裏一体のものとなってしまっています。 

 今、我々に出来るのはやみくもに経済的発展を望むのではなく地球上に棲む多くの生き物の一つとして宇宙船地球号の環境回復に努め共に共生する道を早急に探らなくてはなりません。その為には経済的発展を一度見直す事も大切だと私は思います。そうしないと未来の子供たちにとんでもない負の遺産を残す事になりかねません。

 私は今、事業としてペレットストーブの普及に取り組んでみようかと思っています。まだ、始めたばかりなのでこれから色々な知識を得て方向性を探っていかなくてはなりませんが化石燃料に依存せず出来るだけ地元の山の木を利用することで今まで活性化しなかった間伐事業が進み森林資源の需要促進に道が拓ければ荒廃化した山の資源の世代交代が進みCO2の固定に繋がるのではないかと期待しています。

 そろそろ我々もお金だけではなくてお金はなくても豊かな暮らしが出来る方法を探らなくてはならないんじゃないでしょうか?一番よいのは自給自足の暮らしを心掛ける事だと思います。今、日本の食糧自給率はとても自給自足できるレベルではありません。今回の中国産ギョウザの問題から分かったのは我々が食べている食材の中国への依存率がこんなに高いという事でした。それは安いという事から来ているのだと思いますが、我々は安いというだけで自給自足の道を放棄してはいけないと思います。

 日本にはまだ豊かな自然が残っています。この自然を生かして里山の暮らしを取り戻し食料の自給率を高め地産地消の食物連鎖を繋げる事が出来ればそれが一番豊かな暮らしといえるのではと思います。今から始められる一歩をとにかく地球上の人類全てが踏み出す事が未来の地球を救うことになります。

 何て事を氷点下13度の寒さに震えながらぼ~と考えています。

2008/01/06

2008年、新しい年の始まり

 2008年、新しい年が始まりました。年頭からNY株価の大下落、原油価格の高騰等、昨年から続く厳しい経済状態の悪化を懸念させるニュースが飛び込んできて波乱の年を思わせるような幕開けとなりました。

 私はいつものように故郷の高知で年末年始を過ごし先日、漸く八ヶ岳に戻って来ました。一年に一回の長い休みです。中々家族と一緒に過ごす事がないのでこのお正月休みは久しぶりの家族団欒になりました。別に特段変わった事をする訳でもなくノンビリと休みを過ごしました。しかし、それが一番私にとっては幸せな事です。正月、一番のスポーツの楽しみは箱根駅伝ですが今年は波乱が多かったですね。山梨学院は健闘して無事シード権を手に入れました。来年が楽しみです。

 さて、今年は北京オリンピックが開催されます。中国にとっては国の未来を左右する重大なイベントになる事と思います。アジアにとっても世界中にその存在を知って貰う大きなチャンスになる事でしょう。

 私は今年がここ数十年先の未来を左右する変動の年になるように思っています。それは環境の事でもあり、経済状態の事でもあり、教育や医療の事でもあるような気がしています。戦後、大変な勢いで経済成長を遂げた日本や他の国にとってここ数年の環境汚染に伴う地球温暖化抑制は緊急の課題であり避けて通れない問題になっています。地球温暖化抑制と経済成長の関係は決して別に考える事は出来ないのではないでしょうか、各国の指導者がその事を避けて通りたいのは理解出来ますが現実問題として難しいと私は思います。

 個人のレベルで私達はどうすれば良いのでしょう?自分たちで出来る環境保全、それは自然との共生を模索するしかないと思います。私は今年、出来るだけマイカー通勤を減らし電車で会社に通う事にしたいと思います。不便さを甘んじて享受しようと思います。自分たちで我慢出来ることは我慢し経済成長は横ばいあるいはそれ以下でも敢えて不満を唱えず未来の子供たちになんとか負の遺産を渡さずに済むようにしたいと思います。

 アシストは今年も元気に頑張って行きたいと思います。その中で自分たちの進むべき道を探って行きます。豊かな自然の中で平和な暮らしを健康に過ごす。それが我々が目指す自然との共生です。

 今年もどうぞ宜しくお願い致します。

2007/11/26

不思議、新月の木

Singetu

 先日、東京で「NPO新月の木国際協会」の研究発表会があり理事長から「お前も何か発表しろ」と言われ参加してきました。私の発表内容はどうでも良いのですが招かれた講師の方の研究内容はとても興味深く目からウロコの感がありました。

 写真の方は北海道で「共働学舎新得農場」という農場を経営されている宮嶋氏でNPOの副理事長です。以前、彼の農場を訪ねた時も感動を覚えるような素晴らしい農場だったのですが彼の話はいつも興味深く理論的です。

 新得学舎が創るチーズは3年連続で世界一の金賞を受賞(勿論日本人としては初めてです)する程の素晴らしいチーズを創っています。それには訳がありきちんとした理論に裏付けされた独創的なチーズ作りなのです。自然の力に逆らわない独特の製造方法を用いられています。

 話を新月の木に戻しますが、新月の木はとかく伐採時期だけに興味がもたれており新月の時期に伐れば良い木が取れると思われています。しかし、それだけでは決してありません。キチンとした乾燥方法を用いて自然の営みに逆らわない昔ながらの自然と相談しながらの人間と木との係わり合いを探るものなのです。

 新月の木の活動は決して営利活動が先行するものであってはならないのです。勿論、日本の山の木が流通し間伐が進み若い元気な光合成を活発に行いCO2をその体内に固定出来る様にし、持続性を持つ森作りが出来て人々と森林との係わり合いを取り戻すのが我々の目的ですので、その為には現在の木が流通するのが必要です。しかし、肝心なのはその手法なのです。けっして企業のイメージのように新月の木が扱われてはなりません。そうしないと我々は又、子孫に負の財産を残す事になりかねません。

 現在の杉と檜に偏った拡大造林の森をより自然に近い混合林の森に戻し持続性のある森に作り変える事が出来れば少しでも温暖化の抑制に寄与する事が出来ます。新月の木の活動はその為の活動なのです。

 話が随分逸れてしまいましたが宮嶋氏の講演は何故、新月の時期なのかという事を太陽と地球と月の位置関係から説明した内容でした。詳しい内容はここでは書ききれないの省略しますが要は自然の営みを科学的に推察してみるという事です。あくまで推察ですのでそれが正しいがどうかは分りませんしかし、分らないから違うとは言い切れません。自然界ではむしろ分らない事の方が多いのです。

 新月の木の活動についてはこれからも随時報告していきますので楽しみにしておいて下さい。

2007/10/31

雨の里山体験

Satoyama

 日本近海で突然発生した台風が猛烈な勢いで近づいて雨模様となった先週末、誰も来ないんじゃないかと思われた「里山整備」の講習会、それでも十数人のメンバーが集まりました。

 昨年来、2年に渡って開催している「八ヶ岳森つくりの達人」講座、リーダーを引き受けた事をつくづく後悔しながら何とかあと1回というところまでこぎ着けました。今回は北杜市高根町の田園地帯にある里山をフィールドに選び里山整備を行う予定でした。

 しかし、当日は雨・雨・雨・・・・・前日の午前中までのピンポイント天気予報では何とか曇りで天気はもつ予定だった。だから、そうそうに実施を決めて連絡をしたまでは良かったが、時間が経つにつれて徐々に天気予報は悪い方に変化し、前日の夜中、フト寝床で目が覚めると頭の上の天窓には大粒の雨音がしていた。え~い、しゃあない!里山整備だもの雨が降る事だってあるさ!と自分及び関係者に言い聞かせ、しかしこの講座、何故だか雨の確立が高い。メンバー一同、「一体誰が雨男(女)だよ~マッタク」とぼやくことぼやくこと

 そういえば春先にやった「ツリークライミング」も雨だっけ、あの時は奇跡的に天気が回復してやれたからよかったけどね。

 この里山の持ち主の方がとても良い方で「何とか雨でも落ち着いて話の出来る所はないでしょうか?」とお願いしたら早々に公民館を借りてくれて、後で見たらこの公民館の運営委員さんでした。しかも雨の中、傘をさして里山の中をゆっくり案内してくださり、その後、公民館で行われた意見交換会でも自家製の落花生やサツマイモ、お漬物等を奥様が用意して下さり本当におんぶにだっこでお世話になった。田舎はこういう人がいるから嬉しい。まだまだ人情が生きているところなんだな~

 しかも景観や持続性のある環境に対する思い入れも深く、凄く協力して頂いた。有り難いことです。あと、もう1回間伐をすれば私の講座は終わる。やれやれあと1回頑張るか・・・

2007/09/30

変化への順応?

Saru  Matu

八ヶ岳は一昨日まで真夏なみの暑さ(といっても都会の暑さとは比較になりませんが)でしたが昨日、今日と一気に気温が下がり本日の朝の気温は12度、さすがに気温の変化について行けずにちょっと鼻がぐずぐず言ってます。つまり寒いと言う訳です。しかし相変わらずの異常気象ですね。もう異常気象というのが当たり前の通常気象になってしまいましたね。

 さて、上の写真ですが左側が北杜市武川町の道路を通りがかった時に見かけた猿の群れです。私が近づいたものだから慌てて道路を横切って逃げているところです。確認できただけで約10頭くらい、きっと森の中にはもっと多くの頭数が隠れているものと思われました。先日、地元でこの猿を観察してきた人の話を聞くと、武川町には3つの群れがありそれぞれ20~30頭の群れを形成しているそうです。山猿とちがって里猿と呼ぶそうですが彼等はボスを持たずそれぞれが個体として群れているとの事です。観察している人たちはかれらが人家に近づかないように出来るだけ山に追い返しているのですが彼等も頭がよくて直ぐに戻ってくるみたいですね。

 観察している人の姿や車の車種を覚えてしまい、近くに車を止めておくだけで近づかなくなるそうです。何だか我々の姿とダブってしまいますよね。私も都会から追い立てられて山に逃げてきたようなもんですから・・・・

 さて、右の写真、同じく武川町にある国の天然記念物に指定されている「萬休院の舞鶴の松」と言います。その姿が美しくして天然記念物に指定されているのですがちょっと色が変なのが分りますか?そうです。松くい虫の被害にあって瀕死の状態です。樹齢450年と推定されている赤松なのですが憐れな姿になっています。何とか助けようとしているのですが難しいかも知れませんね。

 ここ八ヶ岳も間違いなく気候の変化に晒されています。むしろ都会より自然に近いだけ変化は早いのかも知れません。動物や植物達の様により自然に近い生き物達が先に変化を起こし我々人間がその変化によって更なる変化を余儀なくされていくのでしょうか。さあ、我々もこの気候の変化にどのように順応していけば良いのでしょうね。その前に出来るだけ変化を最小限に抑える努力をしなけりゃね。私は不要な電気を片っ端から消しています。

2007/06/01

見える?

Tobodati

昨日うちのサンルームの裏に森の中からお客様が訪ねて来た。写真の中央、よ~く見てください。かわいい白いお尻が二つ見えますか?どうやら兄弟で遊びにきたようです。もっと近くまで来ていたのだけど部屋の中から写真撮影しているのに気が付いたようで少し離れてからじっとこっちを振り返っています。

今年はあまり近くには姿を見せなかったのだけど漸く近づいて来てくれました。サンルームの工事が長引いていたのでちょっと警戒していたのかな?これからはこの窓から色んなお客様が姿を見せるかも知れません。出来るだけ皆さんに紹介していこうと思います。楽しみにしていて下さい。

6月に入り日の出の位置はますます北に偏り森の中の緑は日を追うごとに濃くなっていきます。もう直ぐ梅雨になり森はますます鬱蒼としてきます。

2006/12/25

森の営み

20061225_121654538 今年一年も世の中には様々な事件・事故がありました。そんな年末の慌しいこの時期、一通の手紙が届きました。中には国立大学の偉い先生が研究した樹の生態に関する研究成果が入っていました。そこには慌しく右往左往する人間達の世界とは別の自然界の掟にそって淡々と自分達の生を刻む森の木々達の生態が記されていました。人間達の知らない森の営みとはどんなものでしょう?

 森に生息している木々の生態にはまだ分らない事が山ほどあります。そんな神秘に包まれた森の樹の一年を簡単に振り返ってみたいと思います。

 春、木々達は土中から盛んに養分と水を吸い上げて光合成を進めます。木の細胞の中で細胞学的に生きているのは一番外側の辺材と呼ばれる部分で、年輪でいうと外側のほんの数年分だけです。この生きている細胞をフルに活用して自分の体を作るのです。葉で行う光合成だけでは養分を賄いきれずに冬の間に体内に貯めておいた養分もフルに使って必死に成長しようとします。

 そして春から夏にかけて必死に成長を進めた木々は秋になるとゆっくりと休憩に入り地中からの養分の吸い上げも徐々に弱まり10月から11月頃になると成長活動を休止します。

 そして迎える厳しい冬、彼等は春から夏にかけて体内に貯めておいた養分を分解して自らの体を凍結から守る為に凍結防止剤を作り出し細胞内に蓄えています。その他にも自分の体を虫食いや腐れから守る為に心材と呼ばれる年輪の中央付近の赤くなっている部分にそういう効果のある栄養素を送ります。そうして生きている辺材部の活動は終わり次の細胞にその働きは受け継がれていきます。

 そして夜、誰もいなくなった森の中で木はひっそりと細胞分裂を始め新たな命を生み出しているのです。

 再び訪れる春、森の木は眠りから目覚め冬の間に体内にためておいた栄養分を再びかき集めて成長に必要な栄養分に作り変えて新しい成長に向けて活動を開始します。

 森の木はこのサイクルを忠実に守り続け地球上での自分達のテリトリーを広げていくのです。

 話は変わりますが木は地球上で最も大きくて重い生命体だって知ってますか?普通の感覚の生物で最大なものは鯨ですが鯨は重いが為に決して地上に上がる事は出来ないのです。しかし木はその根をしっかりと地上に張り、その体内に作り出した強靭な細胞の力によって自らの巨大な体をしっかりと支えていく事が出来るのです。

 人間達が知らない所で森の木々達はしっかりとその年月を刻んでいます。来年も淡々と刻む事でしょう。人間達の喧騒とは関係なく・・・今も耳を澄ませばもしかしたら聞こえる人には森の木々達の営みが聞こえるかも知れません。

2006/10/08

自然って何?

 私の家はログハウスです。ここ数年、忙しさにかまけてログ外壁の塗装をサボっていたらある日、表面からキクイムシが出てきました。コリャ大変と思いつつそれでも中々決心がつかずサボっていたら段々増えてきて今年こそは塗装しなくてはならないと肝にめいじています。勿論、塗料は昨年から既に用意はしてあるのですがね・・・

 そこでフト、思った。何もしなければこのログはどうなってしまうのだろうかな?と・・私は仕事柄、木について色々な方と話す機会があります。「新月の木」に関する活動も続けています。そこで自然の木ってどういう意味かなと思った。木材業界ではキクイムシは嫌われ者である。木の辺材部の栄養分の高い部分に入り込み卵を産み付ける。それが成長して穴を開けながら出て来る。その結果どうなるかというと業界でシラタと呼ぶ辺材部に小さな穴が開きその部分を製材すると板に穴があいて商品にならないからだ。でもその小さな穴があいているからといって使えないわけではないし強度が落ちるわけでもない。

 そこで思うわけです。自然って何?虫なんか一匹も付いてない木が良い木で虫が入っている木はダメな木なのかな?と・・・野菜でも自然農法で農薬を使わないものには虫が付いています。先日も知り合いの自然農法を実践されている方から「うちは農薬使わないから小さいし、見栄えは悪いけど持ってくか?」といわれてムラサキ芋を頂いた。これがものすごく美味しかった。確かに小さいし見栄えは決してよくないけど味はピカ一でした。

 森の中に立っている木々をみているとこれらの木には果たして本当に一匹の虫も付かないのだろうかと思ってしまいます。残念ながら私にはその知識がないので実際のところは分りませんが確かに立ち枯れてしまった木には多くの虫や鳥が寄ってきていかにも弱って見えます。しかしそうでない木は元気に立っています。

 昔、戦後間もない頃に極端な住宅不足から日本中の山の木が皆伐されて使われその後、植林された木は残念ながらその頃流通し始めた「新建材」と称する腐らない、曲がらない、汚れない新製品にその主流の座を奪われ行き場を失ってしまいました。しかし、その製品はとても自然の木とはかけ離れた存在でした。現在はエコロジーブームです。世の中は自然に対する感心が高まっています。「新月の木」も昔から口伝で伝えられてきた伐採方法を踏襲し山で葉をつけたまま天然乾燥し出来るだけ人工的なものを使用しないで自然の力を利用して「木」本来の姿で流通を図ろうという活動です。

 私は昔もてはやされた「無節」で「柾目」の木が価値ある木だとは思いますがそれは何故、価値があるかというと簡単には取れない木だからです。自然に育った木のなかではそういう条件でとれるチャンスが少ないからです。逆に虫が入った木はダメだとも思えません。その木を生かす方法はあると思います。もう一度、自然って本当はどういう事かとじっくり考る時ではないですかね。なんてフト思ってしまいました。

アシストのHPへ
八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

プロフィール

フォトアルバム

kikori

フォトアルバム