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2006/12/25

森の営み

20061225_121654538 今年一年も世の中には様々な事件・事故がありました。そんな年末の慌しいこの時期、一通の手紙が届きました。中には国立大学の偉い先生が研究した樹の生態に関する研究成果が入っていました。そこには慌しく右往左往する人間達の世界とは別の自然界の掟にそって淡々と自分達の生を刻む森の木々達の生態が記されていました。人間達の知らない森の営みとはどんなものでしょう?

 森に生息している木々の生態にはまだ分らない事が山ほどあります。そんな神秘に包まれた森の樹の一年を簡単に振り返ってみたいと思います。

 春、木々達は土中から盛んに養分と水を吸い上げて光合成を進めます。木の細胞の中で細胞学的に生きているのは一番外側の辺材と呼ばれる部分で、年輪でいうと外側のほんの数年分だけです。この生きている細胞をフルに活用して自分の体を作るのです。葉で行う光合成だけでは養分を賄いきれずに冬の間に体内に貯めておいた養分もフルに使って必死に成長しようとします。

 そして春から夏にかけて必死に成長を進めた木々は秋になるとゆっくりと休憩に入り地中からの養分の吸い上げも徐々に弱まり10月から11月頃になると成長活動を休止します。

 そして迎える厳しい冬、彼等は春から夏にかけて体内に貯めておいた養分を分解して自らの体を凍結から守る為に凍結防止剤を作り出し細胞内に蓄えています。その他にも自分の体を虫食いや腐れから守る為に心材と呼ばれる年輪の中央付近の赤くなっている部分にそういう効果のある栄養素を送ります。そうして生きている辺材部の活動は終わり次の細胞にその働きは受け継がれていきます。

 そして夜、誰もいなくなった森の中で木はひっそりと細胞分裂を始め新たな命を生み出しているのです。

 再び訪れる春、森の木は眠りから目覚め冬の間に体内にためておいた栄養分を再びかき集めて成長に必要な栄養分に作り変えて新しい成長に向けて活動を開始します。

 森の木はこのサイクルを忠実に守り続け地球上での自分達のテリトリーを広げていくのです。

 話は変わりますが木は地球上で最も大きくて重い生命体だって知ってますか?普通の感覚の生物で最大なものは鯨ですが鯨は重いが為に決して地上に上がる事は出来ないのです。しかし木はその根をしっかりと地上に張り、その体内に作り出した強靭な細胞の力によって自らの巨大な体をしっかりと支えていく事が出来るのです。

 人間達が知らない所で森の木々達はしっかりとその年月を刻んでいます。来年も淡々と刻む事でしょう。人間達の喧騒とは関係なく・・・今も耳を澄ませばもしかしたら聞こえる人には森の木々達の営みが聞こえるかも知れません。

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コメント

科学の急速な進歩で夢が少なくなったこの時代に未だ未だ解明されていないものがあって嬉しくなりますね!自然の営みの進歩は長い年月かけて育んできたのですよね! 人間の急速な自然破壊は何をもたらすのでしょうか?新たに進化した新種も生まれるでしょうけど多くの生物は死に絶えるでしょうね!  樹木の研究が自然破壊の見直しに役立つことを期待したいです!

泉原原人さんいつもコメント有り難うございます。とかくビジネスに繋がることしか発展しない傾向がある科学分野ですがこういう自然の営みにも目を向けて欲しいですね。もっとロマンを!

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