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2006年9月

2006/09/29

森の生活事情

 私の家は森の中の突き当たりにあるので新聞配達がありません。毎朝、森の入り口まで出て集配箱の中に入っている自分の新聞を取りに行かねばなりません。マア、それが良い毎朝の散歩になるのですが、今年の初めまでは相棒の犬が一緒だったので散歩のついでに取りに行っていたのですが相棒を亡くしてしまったので今は新聞を取りに行くだけの為に出掛けています。

 今朝も森の中を歩いていたら風も無いのに木の上の梢が揺れています。「ハハ~」と思って音のするあたりをジット目を凝らして見ていたら、いたいた、太い幹の辺りに爪をひっかけてリスが忙しそうに上り下りしています。そろそろ木の実がたわわに実を付け始めたので彼等も忙しそうです。

 昨日は休みだったので家で生ゴミを処分するコーンポスト(田舎では生ゴミをこの土に半分埋めたプラスチックの容器に入れて発酵させて再利用するのです)が一杯になってしまったので別に新しい穴を掘って移し変えていました。いつもこの作業を始めると何処からとも無くカラスが寄ってきて近くの木の上でジット私の作業を見詰めています。そしてなにやら騒がしく鳴き始めます。どうやら仲間に知らせているらしいのです。しかし、毎度の事なのでカラス達には悪いのですが掘り返されないようにしっかり埋め戻して上に枝や石を載せてしまうので彼等はご馳走にあり付けないのです。しかし、夜になるとキツネ達が寄ってくるので彼等は必死で穴を掘ってほじくり返してしまうのでそうするとカラス達も御裾分けにあずかれると言う訳です。

 どうやら森の中の私達の暮らしそのものも森の動物達の日常と深く関わっているようです。しかし、最近は山梨の市街地でも熊が出るようになったので熊だけはちょっと遠慮したいなと思っております。朝、起きて1階に降りたら熊が冷蔵庫を開けてたなんて事になりかねない環境なのでまんざら起こらないとは言い切れないな~と思ったりしています。鹿くらいならまだ良いのですが番犬がいなくなってしまったのでちょっと心配です。

 最近、夜、帰宅途中の森の入り口付近でウサギを良く見かける様になりました。あまりウサギは見掛けなかったので変だな?と思っていたのですがその姿はピョコタンピョコタンとお尻をフリフリゆっくりおっとり動いていて何となく野生を感じなかったのです。そしたら先日、女房が「何だか近くの家で飼ってたウサギが逃げてしまったらしいよ」という話を聞きアッ!と思い出し、そうかきっとあいつだなと今では信じています。その後、捕まったという話は聞かないのでどうなったでしょうかね?

 八ヶ岳は朝方摂氏10度近くまで下がるようになり朝、散歩してるとちょっと冷たく身が引き締まるような気分です。森はこれから美しい紅葉の季節を迎えます。落ち葉の処分は大変ですが遠くから見るにはこの上も無く美しい色模様です。何の変哲もない森の暮らしの日常ですが何となく豊かな気分になれるのもこの季節のなせるわざでしょうか・・・

2006/09/24

古民家

Kominnka 先日、地酒の蔵元「谷桜」さんの蔵に併設されているギャラリーで古民家の催しが開かれました。私の事務所がある北杜市大泉町には谷戸地区という古民家群があり明治から昭和初期に建てられた築100年程度の住宅群が美しい町並みを形成しています。2年程前からこれらの古民家群の調査を私も会員となっている景観の会が県から委託されて実施した経緯から今回、この調査の結果を多くの人に知って貰うと共に実際にこれらの古民家に住んでおられる方や古民家を再生した方達にパネラーとなって古民家に住むという事についてその実態や苦労話をして頂きました。

 実際にこれらの古民家を所有しておられる方は当然、地元の方ですが2代目、3代目の方達は普段は別のところに住んでおられて週末や休暇の時に帰ってこられて維持しておられる方やあるいは親から引き継いだものの痛みがひどくて一旦解体した上で再生して立派に暮らして居られる方などその形態は様々です。

 これらの方達の話を聞いていて何となく肩から力が抜けてホッとした気持ちに私はなってしまいました。それは何故かというと普段、建築の仕事をしている関係から普段はお客様との打ち合わせや役所の申請関係の話を聞く事が多いのですが現代住宅の取り巻かれている環境はやれ高気密・高断熱だのオール電化住宅だのがもてはやされており私は普段から何となく「違うんじゃないかな~」と思い続けていたのですが、何が違うかというと「住む」という事と自然との共存という事とがかけ離れてきているような気がしているからなんです。東京のど真ん中に住むのなら分ります。でも八ヶ岳のこんなに自然溢れるところに何故、高気密・オール電化なのかな~と思っていたからかも知れません。誤解を招かないように言いますが私はこれらが悪いといっているわけでは有りませんので念の為・・・

 古民家に住む方達の話は何の気負いもなく要約すると次のようなものでした。

1、とにかく冬は寒い、寒くてたまらん。昔は冬の朝おきたら口の周りに霜がついていたり雪が吹き込んでいたりするのは当たり前だった。でも今は冬があんまり寒くなくなったので我慢できるようになった。寒いところに住むんだから寒さになれるしか無いと言われた。

2、雨漏りはするし茅葺を直すと家一軒くらい簡単に立つほど費用がかかるので取り合えス穴の開いたところを塞いでいる。それでも親から引き継いだ大切な家を壊す気にはなれないんだよね。

3、150年経った古民家を決心して再生に取り組む事にした。先ず、5年かけて県内の古民家をかたっぱしから覗いて勉強した。その上でどういう風に再生すれば良いか実際に古民家に住んでいる人に話を聞いてひとつひとつ決めていった。解体工事が始まった時は不安そうな顔をしていた親が立派に再生した家を見たら凄く喜んでくれてそれが一番嬉しかった。再生で一番こだわった所はとにかく躯体はいじらない事にした。基礎も昔の束石は絶対動かさないでくれと頼んだ、これがあるから地震があっても生き残ってきたと言われた。それと断熱はしっかりやり直したね。

 こんな調子でした。4人のパネラーの皆さんの話には家と暮らしが深く結びついておりこの地方の季節感や環境が深く関わっているな~と感じました。一言でいうと里山の暮らしが住まいに深く影響しているという事なんです。風の向き、産業、雨の降り方等のその地方独特の環境合わせて家が出来ているという事ですね。これらの古民家群を建てたのは当然、地元の棟梁達です。だから道路を挟んで左右対称なんて家もありそれが全体として一体感のある美しい家並みになっているのです。

 現代の家作りは個人の価値観が最優先で建てられています。八ヶ岳なのに南欧風の家があるかと思えば隣は「〇〇ホーム」の展示場から抜け出てきたような家でその隣はキットのログハウスといった調子です。それらの家並みからは里山の暮らしは感じられません。

 自然に溶け込むような家、古民家にはそういう風格があります。もちろん昔、建てられて古民家と現代技術を駆使した住宅とでは内部の空間の快適性を比べればとても古民家に勝ち目はないと思います。しかし、古民家の良さを活かしながらその技術を中に生かしていく事は可能だと思います。祖先が残した素晴らしい技術を踏襲しながら景観にも配慮した家作りが出来たらといつも思います。家を作ることは出来ても中に住む人達の暮らしを作る事は出来ません。里山にふさわしい家作りとは何でしょう?環境に溶け込む家とは?小手先の技術ではなく地元に根を下ろした棟梁の造る家作りが出来ればな~と感じいった一日でした。

2006/09/17

景観ウオーク

Keikan 雨続きの合い間を縫うように小淵沢で古民家と棚田の風景を楽しむ景観ウオーキングが開催されスタッフとして参加してきました。私はこのウオーキングには第1回から参加していますが今回で4回目くらいになるのではないかと思います。私自身も好きなコースで特にこの時期は田んぼでは黄金色の稲穂が輝き、畑では蕎麦の花が咲き乱れて美しい風景を楽しむ事が出来ます。当日の天気予報は曇り、午後から時々雨の予報でしたが何とか終了まで降らずにもってくれました。

 この景観ウオーキングは「NPO八ヶ岳南麓景観を考える会」が主催しているのですが私も会員として「森つくり」の担当をしていますが「地元の人が語る歴史の会」等、色々と工夫した活動をしています。当日の小淵沢での景観ウオーキングも小淵沢駅前に広がる古民家群(通称、蔵通りと呼ばれています)を見ながら南アルプス方面に下って行き民家群が途切れた辺りから始まる棚田を楽しみ、戦国時代の武田信玄が諏訪との戦いの要として築いた「城山(ジョウヤマ)」で昼食をとりその後、小淵沢方面に引き返すように登り始め水田の水を供給する為に難工事の末に築かれた「松向堰」やその堰の水源である大滝湧水を見に行き、最後は小淵沢の役場で解散となります。

 当日は30名余りの参加者が集まり盛況でした。いつも大体女性の方が多いのですが当日も8割方は女性でしたね。最近は女性が本当に活発に元気に色々なイベントに参加されるようですね。参加された方達と色んな話をしましたが私も感じるのですが普段、この道は車でいつも通る道なのですが何気なく普段通り過ぎる風景が歩いてみると全然、違う風景に見えるので不思議です。やはり、ゆっくり自分の足で移動するという事がどんなに自然を感じるかと言う事を改めて思いましたね。距離にして8km余りですがアップダウンがかなりあり標高差としては300m以上あるのではないかと思うのですが結構よい運動になります。

 普段は中々、雑事に追われてゆっくり歩くという事が出来ないのですがこういう時に参加する事でちょっとだけウップンを晴らしています。これから実りの秋を迎えますます散歩するのには良い季節になります。間もなく八ヶ岳では唐松が金色に輝き始めます。あっ!その前にちょっと遅れ気味の稲の刈り取りも来週あたりから始まるんじゃないかな・・・

 皆さんもたまには時間をとって里山の秋を楽しみませんか?気持ちよいですよ。

2006/09/10

集団健康診断

 東京で会社員をしていた頃は定期的に事務所が入っているビルの前に検診車が来て全員で健康診断を受けていた。八ヶ岳に来てからはそんな気の利いた事は望むまでもなく年に1回、近くの小学校か市営運動公園の体育館に検診車がきて地域単位で健康診断を受けるようになっている。

 私はこの健康診断が苦手である。というか大好きで待ちどおしいなんて人は居ないだろうけど何が苦手かというと病院そのものが苦手だからしょうがない。いつもギリギリまで我慢して周囲(特に女房)に「いい加減にしなさいよ!」と叱られて渋々、病院にいく始末である。集団健康診断は何が嫌かというと先ず胃の検診前にバリウムを飲んでグルグル廻る診察台に乗って廻されるのが嫌なのである。どうも人間扱いされてないような気がしてしょうがない。もう少し何とかならないのかなあ・・・といつも思ってしまう。マア、きっと後、数年すればもっと楽な診察方法が出来て「もう、バリウムなんて古い古い」何てことになるのだろうなと思っているが中々そういう風にならない。あと何年かかるのだろうと密かに待っている。どう考えてもお腹の中にあんな消化の悪い薬をいれてグルグル廻されて頭から足の爪先(オーバーか・・・)まで充分薬を浸透させて撮影するなんて体に良いわけがない。しかもあの下剤・・・診察が終わると必ず飲むようにとシツコク宣告されて飲むまで見張られている。あれが又、大変。元来お腹が余り強い方では無いのでその日一日が大変な事になってしまう。出来れば飲まずに済ませたいのだが見張られているので飲んだフリするのも難しいのだ。で、その日一日はトイレの傍を離れられなくなってしまうという訳です。

 それでも今まではその日一日だけ我慢すれば良かったので何とかその日が通り過ぎるのをひたすら大人しく言われたとおりに過ごしてきたのだが、年を重ねるにつれて段々体のアチコチにガタがきてこの集団検診でひっかかるケースが出てきた。過去に一度だけ肺に影が映っているといわれて精密検査を受けるように宣告され、いよいよ俺もダメかと諦めて遺書でも書くべきかと覚悟を決めて精密検査をうけたら「な~んも写ってませんよ。なにかの間違いじゃないですか」とあっさり言われ、「ナヌッ!」それでは検診のカメラの不具合かと勝手に怒り心頭で自分の意気地の無さに改めて気付くという失態を演じてしまった覚えがある。

 それが今回は胃に影が写っているので今度は胃カメラを飲めと宣告された。自慢じゃないが今まで一度も胃カメラのお世話になった事はない。「嫌です!」とその診断結果を伝えてくれた若い保健婦さんに宣言したら「ガンだったらどうするんですか!」と叱られ、いい年して情けないと自分でも自己嫌悪に陥り「ハイッ」とあっさり敗北宣言をし、先日、まな板のコイになったつもりで覚悟を決めて胃カメラを飲んできたと言う訳です。実は以前、TVの番組で世界の胃カメラの歴史をひもとく特集を見てしまい初期の胃カメラというものは中空になった鉄のパイプを立ったまま口の中に突き刺していたという当時の絵を見てしまい当然、パイプは真っ直ぐな訳で「オエッ、それはどうみても無理だろう!」という絵だったのです。それから意気地のない心の奥底で絶対、胃カメラは飲むまいと固く誓ってしまっていたので周囲の人に「今はとっても楽で全然平気」と言われても「俺は絶対だまされないぞ・・・」と思い続けていたのです。

 で、結果、何とかそのピカピカ光る最新鋭の胃カメラを無事、お腹の中に飲み込んで先生から「あ~有りますね。潰瘍になっていたのが直りかけてますね~。まあ、問題無いでしょう」と言われ無事、無罪釈放となったと言う訳です。んで、今は先生から言い渡された胃薬(きっと気休めだと思うんだけど・・)を飲んで何となく調子が良くなった気がしています。今は毎日、大量の水を飲まされています。

 皆さんも健康には注意しましょうね。いくらお金持ちになっても健康を害したら元も子もありませんからね。だから何時までたっても貧乏なんでしょうかね。

2006/09/03

秋晴れの里山

20060903_184904656 ここ数日、じつに気分の良い秋晴れの日が続いています。こういう気持ちのよい天気が続くと本当に八ヶ岳の麓に住んでいて良かったな~と得したような気分になります。この写真は知り合いの農場に併設されているビオトープです。南アルプスの山並みが水面にうつって美しい景色を作り出しています。この日はトンボが飛び回っていました。天気予報をみているとどうやら南の海上には太平洋を横断して「ハリケーン」から「台風」に名前の変わった大型台風が日本を狙っているそうですが今日は全くそういう気配は感じられません。

八ヶ岳に住んでいると一年のうちに何日かは本当に涙が出そうになる美しい風景に出会う瞬間があります。それはあるときは南アルプスに夕日が沈む瞬間に見せる美しい夕焼けの光だったり、冬の冷え込んだ夜、星あかりに浮かび上がる八ヶ岳だったりします。そういう瞬間は住んでいないとなかなかチャンスに巡り合えません。こういうお金では買えない時間がここには存在します。

この話を信じられない方は是非、一度一年間八ヶ岳に暮らしてみてください。きっとあなたにも分る時が来ますよ。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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