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2011年2月

2011/02/26

全国一斉月齢伐採第2回サンプリング調査

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 今日は昨年10月末より実施している全国一斉月齢伐採の第2回目のサンプリング調査を行ないました。

 昨年10月末より下弦、新月、上弦、満月の4回に渡り全国11箇所でそれぞれ3本ずつ木を伐採して山で葉をつけたまま葉枯らし乾燥をさせてその成分の変化を調査しようという実験が行なわれています。

 今回は伐採3ヶ月後の様子を伐採した木からサンプルを伐り出して冷凍パックして研究機関に送って調査をお願いしようという訳です。

 山梨では当社が担当しているのですがちょうど先週降った雪が森の中にまだ残っており「こりゃ無理かな・・」と思っていたら、このところの気温上昇で雪がすっかり融けてくれて何とか今日、サンプリングを実施する事が出来ました。

 しかし、スタッフに手伝って貰って森の中に入り、昨年末に伐採して倒されている12本の木を探し出して木口に記録されている全国共通の番号を確認してその木口から新たな切片を伐り出して、そうすると元の木の木口には記録されていた番号が切り出されて消えてしまうので又、新たに番号を書き直して、そうしながら写真撮影も行なってと・・・やっと12本の木からサンプルをそれぞれ2つ計24個の切片を伐り出したかと思えば、今度はそれを車まで運んでから加工場に持ち込まなくてはなりません。

 その後、指定された大きさに切片をカットしてサンプルを冷凍する為に野菜パックに詰め込んで自宅に持ち帰り、取り急ぎ冷凍庫に24個の木片を放り込むまでが本日のノルマでしたがそれでも何やかやで半日も掛かってしまい、ヤレヤレでした。

 しかし、この実験はまだまだ続き、今度は伐採6ヶ月後のサンプリングをしなければなりません。本当に木に関る実験というか調査には長い時間がかかります。

 それでも先日、実験の取り纏めをして頂いている森林組合の方にお会いして少し話を聞きましたがどうやらバラツキはあるものの全国的に月齢による変化は確かにありそうだとの情報を得て、まだまだ最終的には研究をお願いしている京都大学の正式な調査結果報告が出ないとなんとも言えませんが何だかドキドキです。

 こういう実験は例えどのような結果が出てもなんだかロマンが有って楽しくないですかね。「木は月を見て踊っている」なんて言葉もあって最初は僕らも好んでこのセリフを使っていました。

 しかし、日本は南北に長い国ですので木にも当然、地域差があって中々、一概には月齢による変化は言えないだろと言う事で、それじゃ全国で一斉に伐採してみようじゃないか、それなら文句無いだろ・・・なんて別に文句をいう人が居た訳ではありませんがとかくこういう話は「胡散臭い」と思われる人も確かに居られるわけで、それじゃ兎に角、全国で協力してくれるところにお願いしてやってみようじゃないかとなった訳であります。

 「ところで山梨はどうするんだ?」と言われ「それじゃ私がとりあえずやります」となった訳ですが、さてさて、結果がどうなるか?今から本当に楽しみですね。

 えっ?何?結果が出たら教えろ?そりゃ勿論、どんな結果が出ても報告致しますです。ハイ。


 
 

2011/02/20

facebook始めました

「エジプト人もすなるfacebookを我もしてみむとてするなり。」

 仕事の関係でfacebookをしなくてはならなくなって始める事にしました。今までミクシイはしていたのでそれ程違和感はありませんでしたが、昨今、世界中で話題になっている通信手段だけあって瞬く間に関係が広がっていくのが分かります。

 正に、「友達の友達は友達だ」状態ですね。一国の政権が崩壊してしまうような力を持っているだけあって一種恐ろしい様な気も正直しますがそれにしてもこれを考えた人間は凄いですね。

 私はどちらかと言うと、こういうのが苦手なので出来れば避けて通りたかったのですが時代の流れといいますか、食わず嫌いはいけないと言うか(笑)人に背中を押して貰いヨタヨタと仕方なく始めた訳ですが登録して直ぐに高校の同級生やら仕事の関係者とかでドンドン繋がっていってもう10数年も音信不通だった友人から連絡が来たり、本当にfacebookやるな~といった感じです。

 発端は先日、東京で実施したイベント企画に参加したのが始まりなのですが、それは今年が国連が定めた国際森林年にあたり「我々、木に関わる仕事をしている人間達も、もっと一般の若い人達に自分の国の森に興味を持って貰わねばならぬじゃないか」とよせばよいのにエラそうな事を口走ってしまったもんだから「それじゃ、お前も手伝え」と言うことになってしまった訳です。

 そのイベントの中で中心になって活動して頂いている方がやはりこういう世の中のヒット作品を企画していく人だった為に「山の人達も申し訳ないがもう少しパソコンに慣れて欲しい。facebookはやって貰わないと困る」とハッキリ言われてしまい、「そりゃそうだいくら森林破壊がどうの新月伐採がどうの葉枯らしがどうのと理屈を言ったって次の世代を担う若い人達に興味を持って貰わないとどうしようもないよな」と納得してしまったと言う訳です。

 このfacebookが他のネットワークと違うのは実名で登録と言う事ですね。他のネットワークの場合だとハンドルネームだったりして自分の素顔を隠して会話する事ができるのですがfacebookは実名なので堂々と自分のプロフィールを出してしまうというところが凄いですね。

 勿論、公表する範囲は自分で選択できるのでそういう意味では他のネットワークと同じですが実名だというところが一番の違いですね。

 それから登録している情報からネットワークが無限大に広がっていくようになっていて「友人かも?」なんてメッセージが入るとつい調べてみようかなと思ってしまうのでそこが又、ネットワークを広げる仕組みになっているのでしょうね。

 正に「ネズミ講」の様な仕組みですね(今時、言わないか・・・)私の基本的な考え方は「人はいつも誰かに支えられて生きている」と思っているので出来れば直接会って話をして目を見ながら対話をしたいと思っているのですがどうしても時間的、距離的な制約があって直接会える人数は限られてしまいます。

 それに比べてfacebookはより多くの人達と短時間に距離感を超越して繋がっていく事が出来るのでそれは凄い効果があると思います。

 しかし、気を付けなくてはならないのは、やはり文字を媒介としているので間違った情報が伝わると瞬く間に多くの人に間違った情報が伝わってしまうということだと思います。

 今まではテレビやラジオといったある程度、情報源の正確さを確認してから報道するというマスメデイアのセキュリテイ機能が働いていたのが今は例えばこのfacebookを利用して誰でも自分の持っている情報を世界中に発信出来て仕舞うという危うさを秘めているということだと思います。

 何でもそうですが要は使う人のモラルの問題だと言う事ですね。

 facebook便利な意思伝達機能を持った素晴らしい仕組みだと思います。

2011/02/12

大雪の朝の小さな小さな旅

 昨日から今朝にかけて今シーズン初めての本格的な積雪となり森の中は30CM程の積雪になりました。ちょうど3連休と重なり出鼻をくじかれた方も大勢いらっしゃったのではないかと思います。

 今シーズンは雪が少なくこのまま春を迎えるのかなと思っていましたがやはりそうもいかなかったようです。例年、この時期は季節が変わる時に湿った雪が大量に降る傾向が多くなっていますが今年もどうやらそういった雰囲気になりそうです。

 私はちょうど今、事情があって自分の車がなくて代車に乗っており、又その車が4駆ではないので早々に車での通勤を諦めて久しぶりの小海線通勤にしました。

 甲斐小泉の駅からJR小海線に乗り隣の甲斐大泉駅まで乗車時間は僅か6分程度ですが雪の森の中を走る高原列車の車窓からみる雪の森の景色はそれはそれは美しくて、いつも車で走っている時に見かける景色とは全く違って見えて本当に不思議なものです。

 JR小海線の甲斐小泉駅は無人駅なので改札はありません。駅の待合を兼ねる小屋に入って下りホームにいくには一旦、ホームから下の線路に降りて反対側のホームに渡らなくてはなりません。

 反対側のホームにある小屋で時間を調整していると始発駅である小淵沢駅を出たワンマンカーのヘッドライトの明かりと踏切の音が徐々に近づいて来ます。小海線は単線なのですが小泉駅では行き違いが出来る様にポイントが切り替わって複線になるようになっています。

 デーゼル車が止まるとじっと待っていてもドアは開きません(笑)扉の横にある開閉ボタンを押さないとドアは開かないようになっているからです。しかし、今朝はボタンを押してもドアが何故か開きません。「こりゃ凍っているな」と思いドアを手で思いっきり引っ張ると「バリッ」とドアの凍りついたパッキンが剥がれる音がして漸くドアが開きました。

 中に入ると整理券を受け取り、漸く車内の人となる事が出来ます。いつもは小泉駅から乗り込むのは大体、私一人ですがこの日は近くの貸別荘からの送迎マイクロバスが駅に入って来てひと組の親子連れが一緒でした。

 若い母親と娘・息子と思われる3人の仲良し家族といった雰囲気の親子連れでしたが小海線に乗るのは初めてらしく子供達が「お母さんこの駅、改札ないよ切符どこで買うの?」と聞いていました。「え~本当だ、改札ないね~小諸方面はどっちだろうね?」と困った様子だったので「小諸はこっちの方ですよ。線路渡って来て下さい」と声を掛けると「え~線路渡るんだ!すご~い!」と子供達は大喜びの様子でした。

 今日は3連休の中日ということで車内には観光に来たと思われる人達が数人乗っていて何やら中で移動しながらやたら写真を撮りまくっている様子だったのですが良く見ると隣に座っている彼女を撮っているらしく彼女と車窓の雪景色をバックにしたアングルを探しているようでした。

 そうこうしている間に甲斐大泉の駅に到着すると、ワンマンカーなのでの降り口は一番前しか無く、私は小銭が丁度無かったので運転席の横の両替機で両替をしてその横の料金箱に整理券と一緒に料金を入れます。

 田舎の高知の路面電車でもこの形式なのですが違うのは料金箱の上にスライドする蓋が付いていて運転手が料金箱に投入する乗客の金額を確認出来る様に車両が止まるまでその蓋が開かなくて料金が投入出来ないようになっているのです。これは前は確か無かったと思うので色々と工夫するもんだなと変なところで感心してしまいました。

 さて、料金を料金箱に入れても自分で今度は降りるドアのボタンを押さないとドアが開きません。ボタンを押して車外に降りると今度は駅の出口は反対側のホームなのでチンチンとなっている駅の信号音を聞きながら自分の乗って来た列車に轢かれない様に(笑)注意しながら線路を渡って駅の出口に向かいます。

 甲斐大泉駅には駅舎の管理をしている方がいらっしゃるのですが改札をする事はないのでやはりそのまま駅の外に出る事になります。そして自分の会社まで雪に埋もれた道を5,6分歩くのですが有難い事に昨晩のうちにその歩道の除雪をしてくれた方がいるらしく誰だか知らない人がこういう所で助けてくれているんだと見ず知らずの人がスコップで除雪をしている姿を想像して感謝しながら歩いて行きます。

 途中、やはり全く除雪されていない所もあってそういう所は膝まで雪に埋もれながら歩いて行く事になります。

 雪の朝、何て事ない通勤風景の中でも小さな幸せを味わう事が出来る小さな小さな旅でした。

2011/02/06

藤沢周平作品に「葉枯らし・冬季伐採」が描かれていました

 田舎の母親の様子を見に今年に入ってからは初めて高知に帰ってきました。昨年の大河ドラマ「竜馬伝」が終了して高知の町中は少し静かになっていました。

 昨年、帰郷した時には竜馬記念館のそばを通りかかったらもの凄い人と車でとても近づける状態ではなかったのですが今回は見事に静かで(笑)いつもの落ち着いた風情に戻っていました。

 全国的に冬の寒さが緩み高知も暖かかったのですがそれでも夜は結構冷え込みコートが離せない状況でした。

 最近はいつも帰郷の際は飛行機を利用しているのですが空港までの行き帰りは高速バスを利用し高知県内はレンタカーを利用して移動しています。

 レンタカーを運転している時はダメですが僕は基本的に移動しているときは本をよむ機会が多く、いつも何冊か本を持ち込んで移動しています。

 今回は藤沢周平の「闇の穴」という新潮文庫を持ち込んで読んでいました。藤沢作品は「蝉時雨」を始め男女の心の機微を描いた作品が好きで良く読んでいます。

 今回は昨年末に丁度、秋田県の庄内地方を訪問した事もあって手に取ったのですが文庫本の「闇の穴」は短編の作品をまとめたもので丁度、高知から羽田への帰りの機内で最後の短編「夜が軋む」を読んでいる時でした。

 小説の主人公である木地師の女房が亭主の仙十郎の仕事の段取りを説明するくだりが描かれている文章に目が釘付けになりました。引用すると「大体新しい葉が出始める4月の末から5月にかけて山入りをし、柾見をしておいて、秋に伐るというのが、木地師の仕事の運びだったんですよ。伐り倒した樹は、枝をはらわないで、そのまま山に寝かせておいて、一冬越させる。そして次の年の春になってから、6尺から8尺ぐらいの玉伐りにして山をおろすと、かるく皮を剥いで、さかさに立てておく。これが木干しの方法で・・・・」という一文。

 えっ!これって我々がやっている「葉枯らし」と同じじゃないかと驚きました。元々は戦前、当たり前のように山で行われていた伐採方法ですが口伝が廃れて今では殆ど行われる事はなかったのですが新月伐採と併せてこれは絶対に良い木になるはずと思って捜してやっと行き着いた方法なので藤沢周平がどうしてこのくだりを描いたのかは分かりませんが彼は山形県で1927年に生まれているのでこの「葉枯らし、冬季伐採」についての知識があったとしてもおかしくは有りません。

 何だか自分が大好きな作家が自分の仕事に関係した事を描いていたなんて本当に嬉しくて、何度も同じところを読み直してしまいました。

 例え小さな旅であろうと旅の中では色々な人との出会いや心の触れ合いやたまにはハプニングや事件も起こります。それが旅の良さでもあります。今回の帰郷ではこの藤沢周平作品の「夜が軋む」の一文に出会えた事が大きな収穫になりました。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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