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2008年11月

2008/11/23

待ち続けるオババ

 僕の住む八ヶ岳南麓の里山の片隅で毎日、道路脇の石垣に腰を下ろして日がな一日中、誰かをまっているオババがいる。人の噂によるとオババは離れて住んでいる息子が帰って来るのをジッと待っているという話だが実際のところは知らない。

 毎日、私が事務所に向かう道の道端で通る車をジッと見ている。以前はもっと別の畑脇の石垣にもたれてやはり一日中誰かを待っていた。仕事柄、車で走り回る事が多いのでその道は一日の間に何回か通りがかる。その度にそのオババは同じ場所に佇んでいた。ある日、女房にその話をしたら「あ~あのお婆さんは息子さんが迎えにくるのをいつも楽しみに待ってるんだって。たまに息子さんが帰ってき又、戻って行っちゃったらその翌日から直ぐに待っているらしいよ」と教えて貰った。オババの頭の中でその事をどこまで理解しているか私には分からないけど田舎に一人暮らしの母一人を置いてきている身としてはとても人事とは思えない。

 以前、といってもかなり前だけど近くの一人暮らしのオバアチャンの家で異変があり朝、通りかかったらそのオバアチャンの家の前の道路に家財道具が散乱しており何があったのだろうと思ってたら、どうやらそのオバアチャンはちょっと頭が錯乱する時があって以前から時々こういう事があったらしい。そんな事があってから暫らくしてその家の前を通りかかったら多くの車が止まっておりどうしたんだろうと思っていたらそのオバアチャンが亡くなったらしいと聞き驚いた記憶がある。

 私の母も認知症の症状が現れてから一人暮らしが困難になり現在は施設に入っていますが別に体が不自由な訳ではないので元気に集団生活をしています。時々、高知に帰って訪ねていくと毎日、「ありゃよく来たね」と迎えてくれます。毎日訪ねても「ありゃ、よく来たね」になるのが玉にキズですがそれが症状なので仕方ありません。

 母の部屋は4階にありそこの個室に訪ねていくのですが色んな話をして(話題は常に繰り返しになるのですがね・・・)帰るときになるといつも1階まで一緒に降りてきて玄関前でバイバイをします。以前は余り気にしなかったのですが最近は振り返るといつまでも玄関の中でこちらを見て手を振っている姿があり何となくそれが気になり時々振り返って姿が見えなくなるのを確認するようになりました。

 そして、何となく振り返る事がためらわれるようになり・・・仕方が無いことですが「いつまでも元気でいてね」と思うことしか出来ないのですね。

2008/11/17

薪割の極意

「薪割りの極意」何て事を偉そうに書くと「どんな極意?」と期待されてこの先を読まれる人の為に言っておきますが全くそんな極意はこの先読んでも出てきませんのでそういう期待をされている方には先に言っておきますね。

 先日、子供たちが久しぶりに揃って帰ってきたので女房が薪割りを命じ、女房と長男、次男の3人が揃って薪割りを体験しました。女房にはいつも「何で子供たちに薪割りをさせないの?」と言われていたのですが何となく「これは俺の仕事だ」という思いがあって今まで子どもたちには教えてきませんでした。で、今回初めて女房と子供達の薪割りを身近に見たのですが子供達といったってもう一人前の大人ですし体だって自分よりはるかにデカイし力なんてキット俺より上だと思うのですが薪割りに関してはホントに下手でありました。

 今回、初めて経験するので仕方ないけどこれなら俺一人で割った方が倍は早いなと思えるほどでした。見ていると危ないったらありゃしない。ハラハラしながら見ていました。女房の言うとおりもっと早くから教えておけば良かったかな?と反省すること大でした。

 薪割りなんて自分にとっては小さい頃からやらされたりしたので特に教わるなんて事なかったけど今の子供達はまず経験すること無いですものね。こっちも段々、体力が落ちてきて薪割りもいつまで出来るか女房殿はとても心配していますが自分としてはまだもう少し出来るかなと思っています。

 しかし、先日(寒くなってから割ったって遅いのですが例年のことです)もういい加減に割っておかないと今年の冬の薪が無くなるので、もう限界(しつこい様ですが遅いっ!)と思い、晴れの一日を利用して朝から晩まで薪割りをしました。

 その日は朝から快晴で気持ちよく空は青く澄み渡り森の中は空の青と紅葉の素晴らしいコントラストに包まれていました。その中で薪割りをしていると本当に気持ちがよいのです。どんなに文明が発達し科学が進歩していてもこの一瞬の気持ち良さは時代を越えて変わらないと心から思いましたね~(これって俺だけですかね?)薪割りの極意は何も考えずに目の前にある丸太を見つめて力一杯狙いを定めてその一点を斧で打ちぬくのみです。難しい事なんてひとつもありません。

 余計なこと考えないから返って頭がすっきりするのでしょうかね。とにかく余りに天気が良かったので至福の時を過せているなととても満足した一日でした。しかし、午前中はそれでも調子よく進んでいたのですが午後に入ると1本割っては休憩して空を見上げて「キレイダナ~」何て一人呟いてみて、次の木を用意してなんての繰り返しのタイミングが段々長くなっていき終いにはハ~なんて溜め息をつくようになり「幾ら至福の時だってシンドイのはシンドイ」と思うようになり最後は息もタエダエの状態でした。

 言うまでも無く次の日は腰と腕の筋肉痛に襲われて最悪の一日を過す事になりました。本気で「やっぱりそろそろ薪割り機を買おうかな」何て事を考えてしまい、その度に「イカンイカン!堕落するだけだ」と気を引き締めなおしていました。しかし、其の内にきっと何時か「堕落してもイイカナ」と考えてしまう時がくるかも知れません。その時までは堕落しそうな自分にムチ打って薪割りを続けていこうと思っています。

2008/11/09

煩い奴ら

 ここ数日、煩い奴らが姿を現してもうウンザリしている。人がフロに入ったりトイレに入ったり寝ていると奴らが我が物顔にやってくる。ジッと部屋の隅に目を凝らすと小さな黒い塊がうずくまっている。そう、奴らが「カマドーマ」である。追い払おうとするとピョンピョン跳び撥ねて逃げ回り中々捕まらない。

 別に噛み付いたり刺したりとか毒を持っているわけでもなく悪い事をする訳ではないけれど兎に角、集団で生まれてあちこち飛び回り煩いったらありゃしない。下手に踏みつけたり潰したりするとペチャっとつぶれて床や壁を汚すのでうっかり潰す訳にもいかない。

 しかし、放っておくとやたら数が増えて大変な事になる。別荘なんかだとバルサンかなんか焚けば一網打尽に出来るが住んでいるとそうもいかない。仕方なく一匹一匹、退治していくしかないのだが兎に角、数が多いのでいい加減ウンザリしてくる。

 この時期の奴らはまだ生まれたばかりで小さくすばしっこい。だから、よほど敏捷に狙わないと中々捕まらない。女房なんかは「エイッ!アレッ!どこ行った?」何て騒ぐだけで音の割りに全然成果が上がらない。兎に角煩い奴等なのである。

 煩いといえば今年はヤスデの発生年だそうである。「発生年」とはどういう事かといういとヤスデという奴は8年周期で地上に出て来る習性がある。地中で生を受けてから7年間は土の中の石の裏側なんかに張り付いて生活しており8年目によっこらしょと地上に出て来る。

 これが又、カマドーマと一緒で別に毒を撒き散らすとか噛み付くとか言うことは全然ないんだけど兎に角、大量に発生し一斉に地上に這い出してくるからたまらない。

 前回の発生は今から8年前の2000年でこの時は大したこと無かったけど以前はここ甲斐大泉駅前の道路は奴等に完全に埋め尽くされて道路が見えなかった程だったらしい。

 しかも連中、踏み潰されたりするとヌルヌルの油分が出て気持ち悪いこと甚だしい。かつては小海線の線路がこのヤスデに埋め尽くされてしまい車輪が踏み潰したヤスデの死骸でレールがすべりとうとう車両が動かなくなった事も有ったらしい。

 しかし、今年は何だか、かなり標高の高い所にしか発生していなくて新聞によるとこれも地球温暖化の影響だそうで元来、寒冷地にしか住めないヤスデ達がどんどん標高の高い所へ生息域を変えているらしい。どうもやつらも地球温暖化の被害を受けているようである。

 それからもひとつ煩い奴等がいる。これは動物ではない、落ち葉である。こんな山の中に住んでいると「今年の紅葉は綺麗ですね~」何て言ってジット縁側からお茶をすすりながら眺めているなんて悠長なことばかり言っていられない。

 自宅の屋根や車の上に大量の落ち葉が落ちてくる。しかも広葉樹の落ち葉ならまだいい、問題は唐松の落ち葉である、とにかく物凄い大量の落ち葉がドサッと落ちてくる。

 放っておくと屋根に上に積りそこがいいアンバイに熱を持って腐葉土化し気が付くと屋根の上から何やら怪しい見慣れない木が生えてきているなんて事もある。実際に我が家の屋根にはいつも何かしら若木が生えている。そうなると我が女房どのから「又、屋根から木が生えてるけどいつ取ってくれるのかな?」と厳しい視線が飛んで来る事になる。「別に俺が悪い訳じゃないんだけどな」とブツブツ言いながら屋根に梯子をかける事になるわけです。

 いやいや冬を迎える前にこの煩い奴らを始末しなくちゃならないかと思うと溜め息が出るけどこれも森の生活の日常なんですね~。ヤレヤレ

2008/11/02

八ヶ岳な人々

 八ヶ岳に住んで20年になります。良くも悪くも(悪い人は居なかったけど)多くの人と接してきました。7年前に独立して会社を興してから更に様々な人と接する機会が多くなり大きなネットワークで結ばれているかのように色んな場所で知り合いに会う機会が増えてきました。

 しかし、今更ながら八ヶ岳には面白い方達が集まっています。というか何故か私の周りには面白い魅力的な方が一杯います。

 数え上げればキリがないのですがどんな方達がいるかというと・・いつもそこらじゅうを歩いていて兎に角、面白い事を至福の喜びとしているペンション経営者。怪しいパワーを体中に秘めて不思議なオーラをそこら中に振りまいているマリオネット使い。インターネットを自由に操り八ヶ岳の情報を世界に発信しているネットワーク構築者。雑草だらけの畑に入り無農薬の米や野菜を作り続けいつも自分用の飲料水をぺットボトルに入れて持ち歩き廃油で走る軽自動車でそこらじゅう走り回る徹底的なエコロジカル農場の経営者。八ヶ岳に住みIT会社の代表をしているはずが何故か最近、映画プロデユ―サーになってしまった人。何故か睡眠時間が3時間あれば生きていられるフリージャーナリスト。無公害の鶏卵造りを実践しているアメリカ帰りのやたら文章を書くのが上手い平飼い鶏舎の経営者。寝る暇も無く一日中パンを作り続けていてもパンを造っていることがひたすら楽しいパン屋の主人。折角、硬い会社に就職出来たのに転職してエコツアーのガイドを始めた自転車乗り。見た目、メッチャ関西弁バリバリのおっかない(ゴメンナサイ)おじさんなのに素晴らしく優しい妖精のような作品を造る人形作家。ひたすら山の木の研究を欠かさずアポイント無しで日本中の木を使う人達を訪ねて廻る林業素材屋さん。日本中を旅して廻っている民話の語り部さん。

 等々きりがないのでもう辞めますが最近よく出会う方達だけでもこんなに多彩な魅力的な方がおられます。きっと東京でサラリーマンを続けていたら出会うことが無かった人達だと思いますがこんな人達との交流が私の大事な財産になっています。八ヶ岳の美しい自然も大好きですがこんな面白い(失礼)人達もここに暮らす私にとっては無くてはならない大好きな存在なのです。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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