待ち続けるオババ
僕の住む八ヶ岳南麓の里山の片隅で毎日、道路脇の石垣に腰を下ろして日がな一日中、誰かをまっているオババがいる。人の噂によるとオババは離れて住んでいる息子が帰って来るのをジッと待っているという話だが実際のところは知らない。
毎日、私が事務所に向かう道の道端で通る車をジッと見ている。以前はもっと別の畑脇の石垣にもたれてやはり一日中誰かを待っていた。仕事柄、車で走り回る事が多いのでその道は一日の間に何回か通りがかる。その度にそのオババは同じ場所に佇んでいた。ある日、女房にその話をしたら「あ~あのお婆さんは息子さんが迎えにくるのをいつも楽しみに待ってるんだって。たまに息子さんが帰ってき又、戻って行っちゃったらその翌日から直ぐに待っているらしいよ」と教えて貰った。オババの頭の中でその事をどこまで理解しているか私には分からないけど田舎に一人暮らしの母一人を置いてきている身としてはとても人事とは思えない。
以前、といってもかなり前だけど近くの一人暮らしのオバアチャンの家で異変があり朝、通りかかったらそのオバアチャンの家の前の道路に家財道具が散乱しており何があったのだろうと思ってたら、どうやらそのオバアチャンはちょっと頭が錯乱する時があって以前から時々こういう事があったらしい。そんな事があってから暫らくしてその家の前を通りかかったら多くの車が止まっておりどうしたんだろうと思っていたらそのオバアチャンが亡くなったらしいと聞き驚いた記憶がある。
私の母も認知症の症状が現れてから一人暮らしが困難になり現在は施設に入っていますが別に体が不自由な訳ではないので元気に集団生活をしています。時々、高知に帰って訪ねていくと毎日、「ありゃよく来たね」と迎えてくれます。毎日訪ねても「ありゃ、よく来たね」になるのが玉にキズですがそれが症状なので仕方ありません。
母の部屋は4階にありそこの個室に訪ねていくのですが色んな話をして(話題は常に繰り返しになるのですがね・・・)帰るときになるといつも1階まで一緒に降りてきて玄関前でバイバイをします。以前は余り気にしなかったのですが最近は振り返るといつまでも玄関の中でこちらを見て手を振っている姿があり何となくそれが気になり時々振り返って姿が見えなくなるのを確認するようになりました。
そして、何となく振り返る事がためらわれるようになり・・・仕方が無いことですが「いつまでも元気でいてね」と思うことしか出来ないのですね。
切ないお話です。短編小説を読むようなもの悲しさ、心に迫ります。老いは避けることができず・・・私の母も天性、笑いを創造し続けたような人でしたが、最後はちょっと・・・でも、「待ち続けるおばあさん」切ないけどいい話ですね。
投稿: 寺岡 | 2008/11/27 22:06
寺岡さん、こんにちは。いつも読んで頂いて有り難うございます。お正月も母に会いに高知に帰ってこようと思います。
投稿: kikori | 2008/11/28 13:13
こんばんは♪
主人の叔母さんはひとり暮らしで、90歳頃認知症の症状が出て、私と主人と主人の両親で10件以上施設見学をして、やっとこれはと思える施設を見つけて叔母さんはお世話になりました
3階の角部屋に住み、会いに行くと、『この歳まで生きられて感謝!感謝!』と言い、職員と手をつなぎ1階の玄関まで送りに来てくれました
叔母さんにとってその施設での生活が良かったのかどうかはわかりませんが、その施設にお世話になってから、顔が温和になったので良かったのだと思うことにしました
今年のお盆は三回忌でした
キコリさん、今のうちに親孝行してあげてください。。。
投稿: shappy | 2008/12/06 20:01
sahppyさん、こんにちは。うちの母の部屋は4階の角部屋です。出来るうちに出来るだけ親孝行したいと思います。
投稿: kikori | 2008/12/07 14:38