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2006年12月

2006/12/29

さらば2006年

 2006年もあと2日余りで終わろうとしています。今更ながら今年を振り返ると今年も色んな事がありました。今年をあらわす漢字は「命」だそうですが私にとっても今年は「命」に関わる出来事が多くあり、改めて「命」について考えさせられた年でもありました。

 今年、年初に愛犬の「キキ」をガンで亡くしました。それ以来、めっきり朝の散歩の回数が減り続け今ではほとんど行かなくなってしまいました。そしてその後、病気療養中だった義母が亡くなりました。病状が回復に向かっているとの話を聞いて喜んでいた最中の訃報で夜中の高速道路を徹夜で移動して葬儀に駆けつけました。そしてその後、同居中の3匹の猫が相次いで倒れ一時は危篤状態でしたが何とか今は持ち直しています。

 そして世の中ではイジメに端を発した自殺が多発し命について考えさせられる年でありました。「命」 重い課題を背負った言葉です。

 来年はどんな年になるのでしょう。願わくば万民に勇気を与えられるような年になって欲しいものです。しかしそれを与えるのも人間、奪うのも人間ですよね。いかなる時も希望をもって前向きに生きたいと思います。もとより余り難しい事は得意ではないので「なんちゃって~」と笑って過ごしていければ私にとっては良い年になるものと思っています。

 今年も最後になりました。皆さん、今年も最後まで「森の囁き」を読んで頂いて有り難うございました。来年が皆さんにとって良い年になりますようお祈り致します。どうぞ良い年をお迎え下さい。

2006/12/25

森の営み

20061225_121654538 今年一年も世の中には様々な事件・事故がありました。そんな年末の慌しいこの時期、一通の手紙が届きました。中には国立大学の偉い先生が研究した樹の生態に関する研究成果が入っていました。そこには慌しく右往左往する人間達の世界とは別の自然界の掟にそって淡々と自分達の生を刻む森の木々達の生態が記されていました。人間達の知らない森の営みとはどんなものでしょう?

 森に生息している木々の生態にはまだ分らない事が山ほどあります。そんな神秘に包まれた森の樹の一年を簡単に振り返ってみたいと思います。

 春、木々達は土中から盛んに養分と水を吸い上げて光合成を進めます。木の細胞の中で細胞学的に生きているのは一番外側の辺材と呼ばれる部分で、年輪でいうと外側のほんの数年分だけです。この生きている細胞をフルに活用して自分の体を作るのです。葉で行う光合成だけでは養分を賄いきれずに冬の間に体内に貯めておいた養分もフルに使って必死に成長しようとします。

 そして春から夏にかけて必死に成長を進めた木々は秋になるとゆっくりと休憩に入り地中からの養分の吸い上げも徐々に弱まり10月から11月頃になると成長活動を休止します。

 そして迎える厳しい冬、彼等は春から夏にかけて体内に貯めておいた養分を分解して自らの体を凍結から守る為に凍結防止剤を作り出し細胞内に蓄えています。その他にも自分の体を虫食いや腐れから守る為に心材と呼ばれる年輪の中央付近の赤くなっている部分にそういう効果のある栄養素を送ります。そうして生きている辺材部の活動は終わり次の細胞にその働きは受け継がれていきます。

 そして夜、誰もいなくなった森の中で木はひっそりと細胞分裂を始め新たな命を生み出しているのです。

 再び訪れる春、森の木は眠りから目覚め冬の間に体内にためておいた栄養分を再びかき集めて成長に必要な栄養分に作り変えて新しい成長に向けて活動を開始します。

 森の木はこのサイクルを忠実に守り続け地球上での自分達のテリトリーを広げていくのです。

 話は変わりますが木は地球上で最も大きくて重い生命体だって知ってますか?普通の感覚の生物で最大なものは鯨ですが鯨は重いが為に決して地上に上がる事は出来ないのです。しかし木はその根をしっかりと地上に張り、その体内に作り出した強靭な細胞の力によって自らの巨大な体をしっかりと支えていく事が出来るのです。

 人間達が知らない所で森の木々達はしっかりとその年月を刻んでいます。来年も淡々と刻む事でしょう。人間達の喧騒とは関係なく・・・今も耳を澄ませばもしかしたら聞こえる人には森の木々達の営みが聞こえるかも知れません。

2006/12/17

新月伐採講習会in福島

20061217_104625578 NPO新月の木国際協会から依頼を受けて福島県郡山市で新月伐採の講習会を開催してきました。といっても私が開催した訳ではなくてNPOの会員からの要請で講習会が開かれてその講師として行ってきたと言う訳です。

私が担当するのは新月伐採の過程の中でNPOが定めている「現認制度」についての仕組みを説明する事です。NPOが今まで行ってきた活動の中でちょっと特徴的なのがこの「現認者制度」です。詳しい説明はここでは出来ませんが分り易く言うと木を伐採する時に第三者として伐採に立会いその木が何時、何処で、どういう環境や状態で伐採されたかを記録し最終的にその木を利用する人にそのデータを提供するのが現認者の果たす役割です。

 最終的に利用する人が木の研究者ならその研究データとして貴重な資料となるし家を建てる人ならその家で使われた木がどういう場所でどういう状態で立っていた木かを知らせる事により安心感を与える事が出来ます。つまり木の履歴保証人とでも言えば良いのかも知れません。

 最近、「新月伐採木で家を建てます」というキャッチフレーズが全国的に広がってきて月と木の関係が注目されてきました。その事自体はとても良い事だと思っています。つまり、このエコロジー流行の社会現象の中でやっと木についても感心を持ってくれる人が増えてきたという事です。地球上に生息する全ての生き物は少なからず月や太陽の影響を受けています。そんな当たり前の事も人は忘れてはいないでしょうか?若しくは「制御出来る」と思い上がっていないでしょうか?私たちが食べる食物も全て自然界の環境に影響されています。私はその世界には人が立ち入ってはいけない自然界のルールが存在するように思います。

 新月伐採木も全国でエコロジーの旗手としてもてはやされる様になりましたがまだまだ解明されなければならない事が山ほどあります。NPOではその為に様々な研究機関と共同研究を継続し全国の会員達も自分達のレベルで出来る色々な試みを行い、その結果を定期的に報告しています。

 最近は企業として「エコ」という言葉は大変な市場をもつ魅力的な言葉になっているようです。それはそれとして素晴らしい事だとは思いますが私はそれが商業活動として利用される事には少し危惧を感じています。以前も書きましたがグローバルな視点で考えないと本当のエコロジーは見えてこないんじゃないかと思います。

 私は地元でNPO八ヶ岳南麓景観を考える会というNPOにも参加しており「森つくり」という分野を担当していますがそのイベントでも山に入って間伐をすると参加者の中に「木を伐ってしまうんですか?」と異論を唱える方が時々出てきます。人が山の自然に関わってしまうという事は最後まで責任を負うという事です。それが嫌なら全く関わらないしか有りません。自然林として立ち入りを禁止し自然界の法則にのっとり自然淘汰されていく森を見守るのが最善の策となります。しかし、今の現状で多くの人達が自然と共に生きる事を希望し里山に住む以上、自然の山とうまく共存する方法を模索するしか手はないように思います。出来るだけ自然界に自分達が住む事による影響を与えないように配慮するしかないと私は思います。

 新月伐採木はその木がもつ自然の力を最大限に引き出そうとするものです。どうしても「新月伐採木」という言葉の響きがよいものでその言葉だけが一人歩きしてしまいがちですが実際は「木が月にどのように影響を受けて育っているか」「どのような条件で木を伐採し製品化すれば木が本体持つ性質を損なわないで環境にも悪影響を与えないですむか」を考えた活動を指した言葉なのです。

 もっと分り易く言えば樹齢100年の木を正しい時期に、正しい状態で伐採すれば良質な木が得られて、そしてその木が100年腐る事無く利用出来れば木の体内に蓄積されたCO2が空気中に拡散せずに済み、再びその次の木が100年間その体内にCO2を蓄積し酸素を大気中に造り出してくれる更新の時間を稼ぐ事が出来、地球温暖化を防ぐ事が出来ます。この地球上でCO2を蓄積出来る大きな希望は海と木なのです。そういう意味で「新月伐採木」は大きな希望を与える事ができる可能性(あくまで可能性です)を秘めていると言えます。但し、希望は希望であって正しくそのメカニズムを理解する事が必要です。そういう意味で単にエコの旗手として商業化に利用される事に注意しなくてはなりません。もっと時間をかけてじっくり解明していく必要があると思います。

 新月伐採木には私はとても魅力を感じていますし月と木の関係についても切っても切れない関係がお互いに有るだろうなと思っています。多くの方達に新月伐採木の事を正しく理解して貰うために自分が知っている事を今後も伝えていこうと思います。ふ~今日はとてもマジメな事を書いたな~ちょっと疲れました。終わり・・・

2006/12/10

大人と子供

 フト、思った・・大人と子供の違いとはなんぞや?何故そんな事を考えたかというと昨日、清里で駐日ノルウエー王国大使のグルットレ氏を招いたノルウエーのイベントに参加してきた。いや、実はそれは口実でそのイベントの最後に予定されているオカリナ奏者の大沢聡さんのオカリナが聞きたくて行ったのですよ本当は・・・ところが受付で「場所はどこですか?」と聞いたら「入られますか?」と聞かれうっかり「ハイッ」と明るく返事したものだからそのコンサートの前に実施されているこのノルウエー大使を招いての「持続可能な都市つくり」だったかな?兎に角そういうパネラーを囲んでの討論会の中に入れられてしまったと言う訳です。

 もうその会も質問を終えて終わるところだったのですがパネラーとして出席していた柿沢元外務大臣が「今日、大使がお1人で何とJR中央線の電車でここ清里に来られた言う事が何よりの持続可能な都市つくりを実践されているという事ではないでしょうか」と発言されてのにひどく感銘を受けてしまったのですね。

 つまりノルウエーという国は景観や環境というものにすごく配慮されている国で環境破壊に繋がる行為は犯罪者として取り締まられるという事が国民の心の中に染み込んでいるという事なんでしょうね。わが国のお偉方のようにタウンミーテングと称し、やらせ質問を用意し更に静岡駅からわずか歩いて8分の会場まで東京からハイヤーで行く事になんの罪悪感も感じないという心と比較するとこれが大人と子供の違いなんだなと思ってしまったのですよ。

 つまりバレなきゃ何をしても良い。バレりゃしょうがないから謝る。これは子供ですね。つまり自分の判断が無い。自分の価値観が無い。大使が話していたのは「グローバルな価値観、誰かに言われたからではなく地球に住む者として当然持続していかなければならない事を先ず、自分から実践し行動する。」これは大人の価値観ですね。いや~聞いてて恥ずかしかった。当たり前の事だけど日本のお役人とこの王国大使との価値観の違い・・・どうしてこんなに違ってしまったのだろう?やっぱり鎖国がいけなかったのかな・・環境に対する価値観の違いは雲泥の差のような気がする。

 偉そうな事は言えないけど自分で出来る事はやっているつもりだけど更に今日からもっと考えなくちゃと思い知らされました。

 その後のコンサートは甚目さんのMCとグリーグの演奏、更に甚目さんが「最初で最後だと思う」といわれた奥様とのピアノ連弾、お嬢さんの素晴らしいバイオリン、そしてお目当てのオカリナ奏者大沢聡さんとピアノの堀内なつみさんのコラボレーションがいつものようにアットホームな雰囲気の中でもキラッと光る才能溢れる演奏を楽しんでとても得をした時間でした。こういうイベントは今後もずっと続けていって欲しいと思いましたね。自分では椅子運びくらいしか手伝わなかったけど・・・今度はもっとお手伝いしますね。

2006/12/07

喋る機械達

最近の住宅に置かれる機械達はよく喋る。例えば自宅のボイラー、昨年壊れてはいなかったけど15年経ったのを機会に取り替えた。このボイラー君いやボイラー嬢、親切に色々教えてくれる。曰く、「お風呂が沸きました。給湯栓を閉めてください」あるいは「給湯温度を○○度に変更しました」と色っぽく?話しかけてくれる。う~んマアこの位ならまあイイカと思っていた。可愛い声だし・・それなりに便利だし・・・と思っていた。

 先日、とあるお宅の便所に入った。入ると直ぐ便器の蓋が自動的にパカッと開いた。マア、最近の便器は全自動のフル装備になっているのでこれ位は当たり前になっている。ウンそうかそうか、便利だねと思い納得して用事を済ませた。すると・・・今度は何だか音楽が鳴り出した。どうやらこれはトイレでリラックスする為の工夫のようだ、もしかしたら用を足すときの音を消す効果もあるのかも知れない。フムフム色々工夫されているな。と思ったがフト便器を覗くと何だか怪しい照明が点いて便器の中を照らしている。ウ~ムここまでしなくても・・と思うけど機能が付いているのだからしょうがないよね。

 このまま世の中が進んでいくときっと朝起きたら「オハヨウございます。電気を点けました。コーヒーを煎れておきました」何て事になり、「口を開けて下さい。歯を磨きます」なんて歯磨きロボットが出てきたりはしないだろうか。そんなバカナと思うかも知れないけど意外と現実になるかも知れない。

 そうなるときっと人間の手足なんかはすっかり退化してしまって短くなって寝たきりになんかなってしまって全てロボットがしてくれるようになるのだろうな・・・

人間はコンピューターのキーボードだけ操作していれば良くなってどんどん運動能力は退化していくのだろうな・・・

 オソロシイ、オソロシイ・・・この喋る機械達、以外と落雷に弱い。昔のシンプルな機械達にはICが組み込まれていなかったのでそうでもなかったけど今の機械には皆ICチップが組み込まれていて落雷による地絡電流がこのICチップを焦がしてしまうのだ。つまり意外と天変地異に弱いと言う事・・やはりシンプルイズベストと言う事だろうか・・・人間もシンプルが一番、私は農家のお百姓さんが世の中で一番エライと思っている。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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