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2006/12/17

新月伐採講習会in福島

20061217_104625578 NPO新月の木国際協会から依頼を受けて福島県郡山市で新月伐採の講習会を開催してきました。といっても私が開催した訳ではなくてNPOの会員からの要請で講習会が開かれてその講師として行ってきたと言う訳です。

私が担当するのは新月伐採の過程の中でNPOが定めている「現認制度」についての仕組みを説明する事です。NPOが今まで行ってきた活動の中でちょっと特徴的なのがこの「現認者制度」です。詳しい説明はここでは出来ませんが分り易く言うと木を伐採する時に第三者として伐採に立会いその木が何時、何処で、どういう環境や状態で伐採されたかを記録し最終的にその木を利用する人にそのデータを提供するのが現認者の果たす役割です。

 最終的に利用する人が木の研究者ならその研究データとして貴重な資料となるし家を建てる人ならその家で使われた木がどういう場所でどういう状態で立っていた木かを知らせる事により安心感を与える事が出来ます。つまり木の履歴保証人とでも言えば良いのかも知れません。

 最近、「新月伐採木で家を建てます」というキャッチフレーズが全国的に広がってきて月と木の関係が注目されてきました。その事自体はとても良い事だと思っています。つまり、このエコロジー流行の社会現象の中でやっと木についても感心を持ってくれる人が増えてきたという事です。地球上に生息する全ての生き物は少なからず月や太陽の影響を受けています。そんな当たり前の事も人は忘れてはいないでしょうか?若しくは「制御出来る」と思い上がっていないでしょうか?私たちが食べる食物も全て自然界の環境に影響されています。私はその世界には人が立ち入ってはいけない自然界のルールが存在するように思います。

 新月伐採木も全国でエコロジーの旗手としてもてはやされる様になりましたがまだまだ解明されなければならない事が山ほどあります。NPOではその為に様々な研究機関と共同研究を継続し全国の会員達も自分達のレベルで出来る色々な試みを行い、その結果を定期的に報告しています。

 最近は企業として「エコ」という言葉は大変な市場をもつ魅力的な言葉になっているようです。それはそれとして素晴らしい事だとは思いますが私はそれが商業活動として利用される事には少し危惧を感じています。以前も書きましたがグローバルな視点で考えないと本当のエコロジーは見えてこないんじゃないかと思います。

 私は地元でNPO八ヶ岳南麓景観を考える会というNPOにも参加しており「森つくり」という分野を担当していますがそのイベントでも山に入って間伐をすると参加者の中に「木を伐ってしまうんですか?」と異論を唱える方が時々出てきます。人が山の自然に関わってしまうという事は最後まで責任を負うという事です。それが嫌なら全く関わらないしか有りません。自然林として立ち入りを禁止し自然界の法則にのっとり自然淘汰されていく森を見守るのが最善の策となります。しかし、今の現状で多くの人達が自然と共に生きる事を希望し里山に住む以上、自然の山とうまく共存する方法を模索するしか手はないように思います。出来るだけ自然界に自分達が住む事による影響を与えないように配慮するしかないと私は思います。

 新月伐採木はその木がもつ自然の力を最大限に引き出そうとするものです。どうしても「新月伐採木」という言葉の響きがよいものでその言葉だけが一人歩きしてしまいがちですが実際は「木が月にどのように影響を受けて育っているか」「どのような条件で木を伐採し製品化すれば木が本体持つ性質を損なわないで環境にも悪影響を与えないですむか」を考えた活動を指した言葉なのです。

 もっと分り易く言えば樹齢100年の木を正しい時期に、正しい状態で伐採すれば良質な木が得られて、そしてその木が100年腐る事無く利用出来れば木の体内に蓄積されたCO2が空気中に拡散せずに済み、再びその次の木が100年間その体内にCO2を蓄積し酸素を大気中に造り出してくれる更新の時間を稼ぐ事が出来、地球温暖化を防ぐ事が出来ます。この地球上でCO2を蓄積出来る大きな希望は海と木なのです。そういう意味で「新月伐採木」は大きな希望を与える事ができる可能性(あくまで可能性です)を秘めていると言えます。但し、希望は希望であって正しくそのメカニズムを理解する事が必要です。そういう意味で単にエコの旗手として商業化に利用される事に注意しなくてはなりません。もっと時間をかけてじっくり解明していく必要があると思います。

 新月伐採木には私はとても魅力を感じていますし月と木の関係についても切っても切れない関係がお互いに有るだろうなと思っています。多くの方達に新月伐採木の事を正しく理解して貰うために自分が知っている事を今後も伝えていこうと思います。ふ~今日はとてもマジメな事を書いたな~ちょっと疲れました。終わり・・・

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コメント

我が家ももう少し遅ければ、、、
新月伐採になっていたかも、、、
もう一件建てるしかない?(笑)

泉原原人さんいつも有り難うございます。
ハイッ!もう一軒ご注文ですね早速打ち合わせにお伺い致します(笑)

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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