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2006年6月

2006/06/19

侵入者

 森の中に住んでいると人間以外に色んな生き物が我が家を訪れる。夜勤明けで1人で家で寝ていた我が家の長男は玄関に誰かが居る気配を感じて思わず玄関を開けようと近づいた瞬間、ワッ!玄関の前に立っていたのは立派な角を生やした牡鹿だったそうな・・・

 ハテ又、この時期困るのが夜ワンサカと集まる蛾の大群、夜、うっかり玄関の照明でも点けていようものならやっと家にたどりついてもうっかり玄関を開ける訳にはいきません。なんせドアをあけた瞬間、家の中に我が身とともに10匹くらいの蛾様がいっしょにご入場となる事間違い無し!

 小さなウゴメクものの代表はアリさん。この時期必ずどこかのお宅から「大変です!アリの大群が家の中に発生しています。早く見に来て下さい。」というSOSが入る。森の中に住んでいるとこれは避けられない侵入者ですね。しかしアリさんも余り多くの侵入者となるとこれは放っては置けなくなるので要注意、噛まれたり家の中に巣を作られてすっかり乗っ取られかねませんからね。

 そしてもうひとつの小さなやっかいもの「カマドーマ」・・よく別荘を建てられたばかりの方なんかは「家の中に可愛いコオロギが出るんですよ」何て嬉しそうな話をしている方がおられるが多分それはこの辺りでは間違いなくコオロギではなくカマドーマ、別名「一間跳び」文字通り一間くらいピョーンと飛ぶので一間跳び・・これを1匹みかけると間違いなく床下にあと100匹くらいは居ると思われよ・・まあ別に悪い事をするわけではないけれど何せ連中は数で勝負に出てくる。夜、ゆっくりログの風呂にはいってよい気分になってさあそろそろ体でも洗うかなんてタオルを持つとその裏側にこいつがへばりついているウアッツ!と叫ぶとピョーンと飛んで壁に張り付きあとは風呂の壁や天井を自由自在に飛び回る。捕まえるのを諦めて改めて湯船に浸かっているとこいつが頭の上に飛び降りてくる。まったく手に負えないやつである。

 こいつは侵入者ではないが最近の我が家のトピックは2階の天窓の外に生えてきた木である、そう、まさに天窓から木が生えてきたのである。最初に女房からどうも家の屋根から木が生えていると聞いた時にはそんなバカな・・・と思って見たら本当に天窓付近から確かに木が生えている。どうやら天窓の上に降り積もった唐松の枯葉の上に多分、何かの種が落ちて発芽したものが大きくなったらしい。家主としては誠に恥ずかしい事でありますがちっともシラナンダ。今度の休みの日にさっそく屋根の上に登ってその木を引き抜く予定である。可愛そうなんてはちっとも思わないのである。とんでもない奴である。

 侵入者として一番警戒しているのがヘビである。別に毒ヘビだからという訳ではない、単にヘビが大嫌いなだけである。一度、基礎の点検口付近で脱皮したヘビのナガ~イ皮を発見してしまったものだからどうも具合が悪い、床下にこいつの本体が居るかと思うと鳥肌がたってしまう。コトワザではヘビは幸運の使者なんていうけどダメなのである。

 未だに姿を見せないあやしい奴は床下で何やら我が家の土台を齧っている奴である。多分、野ねずみの類では無いかと思うのだが夜になるとカリカリカリと床下を齧っていやがる。時々猫がその音に反応して警戒して飛び掛る姿勢を示すのだが相手は音はすれども姿は見せずなのでどうしようもない。仕方ないのでドンドンと床を蹴っ飛ばして「ヤメロッ!」と言っていると最近はしなくなった。嫌気がさしてどこかへ引っ越したのかも知れない。

 一番臭い侵入者はカメムシである。連中はどこか木の中の小さな穴倉に卵を産み付けて一気に這い出してくる。そしてブ~ンと部屋の中の照明目掛けて飛んでくるのである。これを捕まえようとしてうっかり掴んだりしたらサア大変!いやはや臭いのナンノ・・とにかく嫌な匂いを発生させてこれがいくら石鹸で洗ってもも取れないから困る。コツはとにかくウチワかなんかをつかってその上に乗り移るように静かに仕掛けて旨く乗り移ったらすばやく窓を開けて刺激しないようにゆっくり移動してその窓から放り出す!これが一番である。

2006/06/11

山間の村・川

Kawa 仕事で静岡県の天竜杉を使っているので市町村合併で浜松市になった天竜地域に行く事が多い、山梨から天竜地域に行くのは近そうで遠い。直線距離では大した事無いのだが何せ間に南アルプスという高い山脈がそびえている為にこの南アルプスを如何にかわして行くかがポイントになる。大きく分けて東ルートの中央高速・甲府南ICで降りて精進湖を抜けて富士宮に入り東名高速・富士ICにいたるルート、中ルートの韮崎から国道52号線に入り富士川沿いに清水に出て東名高速・清水ICにいたるルート、そして西ルートの中央高速・飯田ICに出て天竜川沿いに南に下るルートの3本である。

 色々試してみたが今は飯田ICから天竜川沿いに行かずに国道153号線を通って鳳来寺の横を通る国道257号線を抜けていくルートを教えて貰いこの道がお気に入りの道になっている。この道は昔の三州街道~伊那街道と呼ばれるルートで山間にひっそりと昔の面影を残す小さな町並みや美しい川が流れている。

 写真は三州街道を抜けた国道10号線沿いに流れている桧原川という美しい川である。余りに美しいのでつい車を止めて川沿いの木々越しに写真を撮った時のものです。

 この街道沿いには寒原峠、治部坂峠、平谷村、赤坂峠、根羽村、折元峠、設楽町、鳳来寺山と昔と変わらぬ峠道が続き、古い街道沿いの村々にはひっそりと年月を刻んだと思われる旧家がたたずんでいる。車を運転しながらこれらの道沿いの家並みを見ていると何だか時間を遡っているような錯覚に陥る。日本人が忘れてしまった昔の自然と一体に暮らしていた時代の風景がそこにはある。

 今ではこのひっそりと暮らす村の上空に第二東名高速道路の橋脚が巨大なオブジェを思わせる異様さで聳え立ちそのアンバランスな姿をさらけ出しています。自然と共に暮らす風景は誰にも美しいと思わせる威厳さが備わり、そこに割って入る巨大な人工物には不遜な圧迫感を覚える。

 ここ八ヶ岳にも美しい街道がある。ようやく重い腰を上げた政府も景観法を成立させて日本風景街道(シーニックバイウエイ)として美しい日本の街道風景を守っていこうという姿勢を示し始めた。経済効果も確かに大事かも知れないが人々の生活や健康に直接関係してくる自然を損なっては元も子もないのでは・・・などと思ってしまう美しい街道に出会う事が出来ました。

2006/06/04

森の現状

 「新月の木」の会合で明治大学名誉教授で工学博士の藤井石根先生の講演を聴く機会に恵まれた。先生は熱応力、太陽熱の動力化等の研究をされており「日本太陽熱エネルギー学会」の元会長をされている。今回の講演のテーマは「緑の悪化とバイオマスエネルギー」という事でしたが我々シロウトにも分り易い説明で非常に感銘深い講演でした。

 先生がこの講演の中でもっとも憂いておられたのは加速度的に進む地球温暖化に対する懸念です。私が以前から不思議に思っていた八ヶ岳における気候変動のひとつが温暖化による冬季の降雪量の多さです。何故そうなるのか何回聞いても良く分らなかったのですが先生の話を聞いてなるほどなと思いました、つまり大気中のCO2の増加によりメタンガスが地球を覆いその結果温室化した海水温度が上昇し大量の水蒸気が発生する。その水蒸気が大雨や雪をもたらす結果になっているという訳です。

 聞いてみると「ナルホドナ」と頭の中で理解は出来るのですがこの話はスケールが違うのです。現在、地球上では巨大な規模でエネルギー問題と食糧問題が発生しています。何の事かと言いますとエネルギー問題は言わずと知れた石油備蓄問題です。世界がこのままのスピードで経済成長を進めるといずれ石化エネルギーは底をつきしかも長年蓄積されていたCO2が大気中に放出される事により地球温暖化が加速され結果、大気中の酸素濃度が低下しその事が食糧不足による飢餓を発生し生態系の崩壊を迎える結果になりかねない状況です。現在、アマゾン・東南アジアの熱帯雨林のうち東南アジアの70%に日本の業者が伐採に関わっています。

 世界のCO2発生国のトップは中国です、その次がアメリカ、この経済大国の2カ国が地球温暖化防止活動を定めた京都議定書から外れています。この2カ国の積極的な参加なくしては温暖化の抑制はありえないのです。

 この様な状況における森林に期待される効果は言わずとしれた木の光合成によるCO2の固定です。木は大気中のCO2を取り入れて酸素を放出しています。長くこの固定化されたCO2を留める事、つまり木を有効に長く使う事が今後重要な課題になってくるのです。森林にはこの他に・土壌の保水性(緑のダム)・蒸散作用の促進・河川や大陸棚の養分の供給・大気汚染の防止と浄化作用・土壌飛散の防止と防風効果・防塵と消音効果、そして癒し効果と数え切れない程、地球を維持していく上で貴重な役割を果たしています。

 長々と先生の講義内容を右から左へと書き連ねてきましたが最後に先生の講義で一番印象に残った言葉は「現在の地球温暖化を抑制するのに我々が身近に出来る事は省エネルギー、1970年代つまり昭和45年頃の日本のエネルギー消費量は現在の50%です。あの頃の生活を維持できれば温暖化は抑制できるのです。あの時代、我々は不幸だったでしょうか?」路面電車が走り回っていたあの時代に戻る事は出来ないんでしょうか?

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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