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2012/07/05

現代外科病棟の人間模様

 田舎の母が先日、お世話になっている施設で転倒してしまい足と手を骨折して市内の病院に搬送されてしまいました。

 朝、食事に下りてこないので不審に思ったスタッフの方が部屋に見に行ってくれたらベッドに腰掛けてボー然としている母を見つけてくれたそうです。

 直ぐに救急病院に運んで頂いて手術する事になりました。何せ一人暮らしでお互い離れて暮らしているので急に何かあっても駆けつける事が出来ないので事情を説明してオペを担当してくれる先生と電話でやりとりが始まりました。「それでは現在の状態から説明します。レントゲン写真の結果は・・・・と延々と丁寧に状況を説明してくれて手術に関わるリスクと効果を分り易く説明してくれました。

 その後、緊急を要するとの判断で電話で手術への同意と輸血への同意を先生と第3者ということで看護師の方に同意する旨を伝えて取り敢えず緊急の対応をすませて直ぐに田舎に帰るべく色んなところへの仕事の手配と交通手段の段取りと様々な事をすまして翌日、夫婦で病院に駆けつけました。

 病院に着いて母の病室を訪ねるとナースセンターの直ぐ脇の6人部屋との事、大体、ナースセンターの直ぐ近くと言う事はナースさん達が直ぐに気がつく様に何らかの事情がある病人が収容されているケースが多いと聞いているのでハハ~ンと思い病室へ行くと一番奥に母が居ました。

 電話で事前に様子を聞いていたので想像はついていたのですが予想どうりの状態でした。満面の笑顔を振りまきながら「えらい事やったね~大丈夫かえ?」と声を掛けた母の様子は点滴の針を抜いたり怪我をした手首に巻いたギプスを器用に外してしまった前科に看護師さんがあきれ果てて手には手袋をはめて動けなくされた哀れな状態でした。

 笑ってはいけないけど予想どおりの状態なので余計、満面の笑顔を振りまく事になりました。

 しかし、ナースセンター脇の6人部屋はそんな生易しい患者さんの部屋では無かったのです。母の斜め前の患者さん。歳は母より少し若いかと思われるオバちゃん。これが凄いクレーマー患者さん。

 「お姉ちゃん!痛いちゃ~!はよ~来て!いや参った!いと~てかなわん!はよ~来て!」と叫んでいる。最初は事情が分らないので大丈夫かな?と心配したのだけど廻りの患者さんも看護師さんも完全無視の状態なので何か訳があるのだろうなと思ってはいたのですがこれが本当に凄い!

 食事をするのにも、点滴をかえるにも、お尻のオムツを替えるもの全て3人掛かり、何日かして私も慣れてきては居たのですがある日の午後、例によって「おねーちゃん!痛~い!はよ~来て!」「○○さん、どうした?いや?これはどうした事?何で裸になっちゅうが?いや!点滴も外してしもうてどうしたが?」

 「いた~い!はよ~外して!」「○○さん、これを外すとあなたは死ぬかも知れんよ。苦しくなっても良いの?ダメでしょ。ハイ、頑張って戻すよ!」「いや~!私に触るな~!」「いや!何で人の顔を足で蹴るの!いくら何でもそんな事したらダメでしょ!」「バシッ!」「アッ!何で叩くの?オムツを替えてるだけじゃないの!そんな思い切り叩いたら私ら痛いよ!」「ガンッ!バシッ!」「厭っ!○○さん私も病院勤務長いけど、オムツ替えるのに顔を足蹴にされたのは初めて!皆、一生懸命あなたの為に頑張ってるのにそんなことしちゃダメでしょ!」「・・・・」

 なんて会話が一日に何度も繰り返される。しかもこの方、大人しそうな看護師さんとみるとかさに掛かって叫ぶのである「痛~い!」その癖、処置が終わって皆がいなくなると暫くして

 「誰かおらん?いや困った、痛いのに誰もおらんろうか?おねえちゃん?いや困った・・・」と小声でノタマウのだ。

 これを一日、傍で聞いているといくら仕事とはいえ看護師さん達の仕事とは本当に激務だなと感心してしまいます。

 母も昨年も同じ病院に救急車で運ばれてお世話になっているので病院勤務のお医者さんや看護師さんの仕事ぶりには頭が下がります。世間ではとかくメデイアで問題のある病院や医者の事ばかりが報道されていますが実際の外科病棟の一日は本当に命との戦争です。

 母の元にも担当の医師や看護師さん、看護師長さん、栄養士さん、リハビリ担当、ソーシャルワーカーさん等、多くのスタッフが様子を見に来てくれます。認知症で少しスタッフの方には迷惑かけますが母が治るまで宜しくお願い致します。

コメント

遠い故郷でのお母様の事、大変でしたね。私も夫の両親の同時介護・母の末期癌介護の経験から、沢山の現場を見ました。
一人の看護師さんが10人以上をみる深夜の現場では本当に頭が下がりました。大変なお仕事だと思います。
お母様、どうぞおだいじに。

アロハママさん、有難うございます。今も再度高知に向かっているところです。リハビリ病院に転院するので手続きにトンボ帰りです。又、母には頑張って貰わねばなりません。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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