« 新年おめでとうございます | メイン | 沈黙は善か?悪か? »

2011/01/09

鞄に関する考察

 今年も年賀状に昔、私の仲人をしていただいたご夫婦からの便りが入っていました。もう30年以上のお付き合いですが今では年に1回、年賀状での近況報告だけになってしまいました。

 昔、学生時代にこの仲人さんが店長をされている鞄屋さんで毎春、アルバイトをしており女房ともそこで知り合ったのが縁で結婚したのでこの店長さんご夫婦に仲人をして頂いたと言う訳です。

 先日、高知に帰った時にその店の前を通りかかったら既に店は別の店に変わっており何があったのかと思っていたら今年の年賀状で仲人さんたちも定年退職して年金生活を始めたとの知らせが入っていました。もう30年以上の年月が経っているのだから当たり前と言えば当たり前だけど寂しさも又ひとしおでした。

 最近、テレビでもランドセルのコマーシャルが増えていますが当時、鞄屋さんの売上は春先のランドセルと学生鞄が一年の半分以上の売上を占めており、どの店もアルバイトを動員して売上を上げるのに必死でした。

 我々も各高校の入学式の式場に出店を出して鞄を売りまくっていました。当然、他のライバル店も同様に出店しているのでいかに他店に負けないように売上を伸ばすかがアルバイトに課せられた至上命令でした。

 バイトとはいえその店の一年の売上の大半を担って同じアルバイト達を率いて責任者として行く訳ですからそれなりに緊張して売りまくっていました。何せ入学式が終わって新入生達が父兄達と出てくる数十分が勝負なのです。

 その為に式典出口のどの位置に店を出すかが先ず最初の勝負です。そしていかに出てくる父兄や新入生達にアピールするかが次の勝負です。時間との戦いなのでお釣りのやりとは大変です。

 レジなんか打っている暇はありませんから売上は大きなダンボールに札束を放り込んで、お釣りもある程度想定しておいてそれを次々と渡していきます。不思議なもので一旦お客様が集まると我も我もと次々とお客様が集まってくるのでこれも群衆心理みたいなものでしょうね。もう金額は忘れてしまいましたが数十分でかなりの金額を売り上げていたと思います。

 面白いものでその学校の特色があって進学校に売りに行くときは底の幅(マチ)が広いものじゃなくては売れないし、そうでない学校ならマチの狭い鞄でなくては売れないので準備段階で品揃いの作戦も大変重要になります。

 ランドセルは大抵店先での販売が殆どでしたが不思議と新入学の子供達や親御さん達は余り来店せずにお孫さん達にプレゼントするお婆ちゃん達が多く店を訪れます。

 当時はまだ余り色も多くなく合皮のクラリーノが出始めたばかりの頃でした。でも大抵、ランドセルは比較的高級品が売れていたのでこれも親心なのでしょうね。

 話は変わりますがカバン店の春先の品揃えをみるとその年の景気動向が分かります。華やかな色、例えば黄色やピンクなんていうハンドバックが並んでいるときは比較的景気がよい証拠です。それに対して黒やグレーなんて比較的暗い色調のものが並んでいるときは余り景気はよくないと見た方がよいのです。そういう目で店先の品揃いを見ていると又、違った楽しみが出来て楽しいですよ。

 そういえば春先は財布を新しくすると良いと言われて暫く正月に必ず新しい財布を買っていました。ここ数年はさすがにそういう事も無くなってしまいましたが昔は風水で「今年はこの色が縁起が良いからこの色にしよう」とか、かなり凝って選んでいましたが、余り関係無かった(笑)ので今は古くなったら変えるようにしています。

 最近はブランド品ばかりが注目されていますが昔はそんなにブランド志向が強くなかったので造りが良い物とか色使いがよいものとか比較的、職人気質な品揃いに気を使っていたように思います。

 鞄の底の縫い方だとか型押しのデザインとかそういう物が売れていたように思います。

 冒頭に書いた学生鞄もその学校の校章をサービスで入れていたのが受けて結構買って頂いたのですがこの校章を鞄に入れるのが一つ一つ手作業で鋼製の金型を万力で鞄の指定の場所にいれていくのですが、これが結構手間でちょっとでも力を入れすぎると皮を切ってしまうし、弱いと型が薄くて失敗してしまうので結構気を使います。今はあまりこんな校章入りの学生鞄なんて皆んな持たないのかな?これも時代の流れなんでしょうね。

 それにしても学生時代の思い出が詰まった老舗の鞄屋さんが消えていくのは寂しいものですね。頑張れ!老舗!

コメント

アシストさんも北杜市の老舗ですね!!
今年も頑張っていきましょう

tairakuさん
老舗なんてとんでもない!
いつもチャレンジャーです(笑)
今年も宜しくお願い致します。

コメントを投稿

アシストのHPへ
八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

プロフィール

フォトアルバム

kikori

フォトアルバム