言葉というツール
先日、TVのニュースで昨今の若者の言葉でのコミュニケーションの様子を特集していました。初対面の人とどの位、上手く話が出来るかという実験をしていましたが中々これが上手くいかなくて沈黙が10秒間続くとその時点で実験は終了というものでした。
そういえば先日、いつもBGMで事務所に流しているFM番組でもDJの人がラジオ番組で10秒間、沈黙するとそれは放送事故に繋がりかねないと言っていました。
自慢じゃないけど私も他人と話をするのが苦手で若い時はそれが心の葛藤に繋がって更に話が上手く出来なくなるという悪循環に繋がっていました。
子供の頃に自宅で近所の子供達と遊んでいたときに何が原因だったか忘れましたが皆と喧嘩になって「もう皆、帰れ!」と言ってしまったのがきっかけでその後ひどく落ち込んでしまいそれがトラウマになって余り上手く他人と話が出来なくなってしまいました。
他の方が聞くと「そんな些細な事でトラウマになんかなるものか」と思うでしょうが今でもその情景を覚えていることが正にトラウマなのかも知れません。
そうして何とかそれなりに大人になり社会人となり、それなりに他人と話をせざる得ない状況になりそれでもやっぱり自分なりに悩んで、以前にもここで書きましたがある日、ふと目に付いた「他人と上手く話をする方法」みたいなテーマのノウハウ本を購入しました。
普段は余りこういうノウハウ本は好きじゃないので買わないのですがその時はよほど自分なりに何かで人とのコミュニケーションに困っていたのだと思います。
そこで色々な人とのコミュニケーションの仕方のノウハウを知り、それから面白くなって色々な本を読みました。コント55号の「欽ちゃん」が書いた本や脚本家の倉本聰さんの著書なんかに感銘をうけてそれをそっくりそのまま真似させて貰った事を覚えています。
今ではその経験をいかして自分なりに工夫して話をしようと努力していますがそれでもやはり努力しないと上手く話せません。
現代のコミュニケーションツールとして絶対的な存在は携帯電話であり又、メールでもありますよね。これは僕はすごく便利であるし危険でもあると思っています。
何が気になるかというと色々あるのですが携帯電話は掛けている相手の状況が分からないと言う事です。僕はいつも「今、話できますか?」と聴く事にしていますが固定電話であれば間違いなくその電話がある場所に相手がいるわけだからおおよその状況は分かりますが携帯電話の場合は相手が何処にいてどういう状況が全く判りませんよね。それがとても気になります。
だから私は休みの日や仕事が終わると携帯電話を切ってしまいます。自分のプライベートな時間を大切にしたいのです。よくスタッフには怒られますが(笑)
それからメール、これは何がいけないかって、どうしても伝えたい微妙なニュアンスが伝わらないのです。所詮メールという言語と最近は絵文字なんてのも使えるようになりましたがそれでもやはりそこに書かれている文字には感情が表れないので微妙なニュアンスが伝わらないのです。
私は人と話をするときにその人の微妙な顔の表情の変化や言葉の強さ、態度にすごく興味があります。表情を変えないで硬い表情の時は何か話の中身に気に入らない事があるはずだし、シビアな話題なのに表情が緩んでいるときは何か解決策をもって臨んでいると思うし、そういう意味で相手と言葉でコミュニケーションをしている時は他の表現手段を参考にできるのでとても助かります。
片やメールの場合はどうしても文字だけで伝えなくてはならないので表現が強く伝わりがちな気がします。
言葉でのコミュニケーションはそういう言葉以外の状況を見ながら話題を探せるので助かります。基本的にコミュニケーションは相手とのキャッチボールなのでどんな話題に変化しているか無限の可能性があります。
そういう意味では社会人をしていて一番辛かったのは自分が有利な結果しか求められていない交渉でした。この場合は仕事として結果が求められているので自分に有利なように相手を誘導する必要があります。簡単な交渉ならよいのですがそうでない場合は相当ストレスが溜まります。
仕事の規模が大きければ大きいほどそうなりますね。今回のWカップ日本代表なんていうのも言葉での折衝とはちょっと違いますがスポーツとしての試合の結果として勝利を求められているので関係者のプレッシャーは大変なものだと思いますね。
話がアチコチ飛んでしまいましたが現代の若者たちはどうしてもこういうメールという文字でのコミュニケーションが主体になってしまったのでどうも言葉でのコミュニケーションが苦手なようです。
人間って思ってもいないことを伝えてしまったり言わなくても良いことを言ってしまったりして相手を傷つけてしまう事があります。だから人間って面白いと思うのです。倉本さんの脚本にはよく「・・・」という表現方法が取られます。文字にすると「・・・」ですが言葉にするとそこに顔の表情だとか深い思いだとかが詰まってきます。だから言葉って面白い・・・
現代の携帯若者への所感には共感します。
声の聞こえるところでメールをする。人とは話せないかPCなら会話ができる。新即採用面談は、立派に話すが、採用後は無口になる。社会の便利さが人と会話できない人を増やしているのか。
本業は、社内向けのコミュニケーションツールの開発をしています。伝達手段は、文字、絵、映像など進歩しました。解りやすく情報共有は出来るようになりました。ですが、本来、認識や感情の共有をしたいのが人です。その領域にはまだです。
Face to faceが一番だとは思います。・・・明日、セミナーで講演しますが、メーカがこんな発言できないですよね。いつも言っちゃいますけどね。
投稿: 八富士 | 2010/07/01 13:05
八富士さん
仕事柄、言い難い事って有りますよね。メールは使い方によっては言葉でのコミュニケーションを助けるツールにもなり得ますよね。どっちが主体か?という事が大事なような気がします。
投稿: kikori | 2010/07/01 13:21