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2022/10/31

御柱祭

 先日、地元の神社の「御柱祭」に参加してきました。と言っても諏訪大社さんの上社や下社程の大きな神社ではありませんがそれでも「御柱」は人の手で引くにはかなりの大きさと重量で聞きしに勝る大変なお祭りでした。

 元々、私が長野に引っ越したのは4年前なので「御柱祭」の事は勿論、山梨に住んでいる時から知ってはいましたし実際に勇壮な「木落とし」や「川渡し」「里引き」を見に行った事もありましたがしかし、自分がそのお祭りに参加する事になるとは全く思っていなかったので自分でも驚きました。

 なんで参加する事になったかと言うと、話は長くなるのですが縁あって長野に引っ越す事になったので近くの神社にお参りに行った時に「これからお世話になります」といって協力費みたいなお礼を納めさせて頂き、合わせてお世話になる所の区にもご挨拶して区費を納めて区民にもさせて頂きました。

 そんな事はすっかり忘れていたのですがある日、郵便受けに「御柱祭実行役員名簿」というものが入っており、その中になんと私の名前も記載されていました。当初は名誉的なものだろうと思い、私みたいな者が参加するもんじゃないと思って気にもしなかったのですが、ある日「今週末から木造り、縄づくりをするので参加する様に」とのお達しがポストに入っており、これはちゃんと話をしなくちゃならんだろうと思い担当の方に連絡させて貰ったら「参加者が足りないので是非参加お願いします」と言われ、聞くと私の暮す地区の区民はお祭りの参加者が少なくて人手が足りないという事でした。

 さあ、それを聞いてからが大変、その週末の木造り等は別の用事が既に組まれていて参加出来ないとお伝えしたのですが、その次のイベントは「山出し」といって御柱を安置している山の中に入って皆でそれを麓の安置所まで下ろして来るという行事です。

 その日まであと2週間も無いタイミングでした。とにかく参加するためには御柱祭の衣装を整えなくてはなりません。地下足袋、股引き、腹掛け、帯、鉢巻、法被これらが各地区で決められたものがあり、色もそれぞれ違います。それも後2週間しか無いタイミングで揃えなくてはならないので兎に角、先輩の役員の方に連絡して「どこで売ってるんでしょうか」とお聞きするところから始まり店の連絡先を聞き、場所を確認して「まだありますか?」と聞いたらも最後の一枚位しかないです」と言われ「それ、私が買いますから置いといて下さい!」とお願いして、それでも足りないものは先輩の役員の方から「これ使わないから差し上げます」と言って貰い遠慮なくお言葉に甘え、何とか恰好だけは祭りの支度が出来ました。

 さあ、その「山出し」の当日、集合場所に朝の6時に集合し皆で山に安置してある御柱の所に行き早速、神事が行われお祭りのムードが高まり地区のあちこりで合図の花火が上がり、爆竹まで馴らされ出発の「木遣り歌」が「子供木遣り隊」を中心に盛大に奉納され、いよいよ雰囲気が盛り上がり「なるほど、これが御柱祭の雰囲気か」と感心させられました。

 そしていよいよラッパの合図とともに山出しがスタート!私の役目は「追っ掛け」といって大きな御柱の後ろ側に付いた引綱を持って御柱がカーブを曲がったり、急な坂道を落ちる時にその方向を変える役割をになっています。

 御柱が人を載せて急な山道を下りていくのですが多くの方達が綱を引いているので息を合わせて引かないと中々大きな木は動いてくれません。ひとつの神社に対して4本の御柱がありそれぞれ一之柱、二之柱、三之柱、四之柱と呼びそれぞれ担当の役員が付いています。

 狭い山道を下りて行くので「エ~こんなとこ曲がるの!」とか「エッ!どうしてもここ通るの」とか言いたくなるカーブが連続して結構大変でした。そんなこんなで漸く「山出し」が無事終了すると再び安置場所に御柱を並べて安置して又、一週間後に今度は祭りのメインイベント「里引き」と呼ばれる御柱を町の中で皆で引いて神社まで運ぶ作業が行われます。

 これには女性や子供達も大勢参加してお祭り気分が最も盛り上がるイベントです。それでも人一人が漸く通れるような急勾配の階段を通すところがあり、さすがに「エ~どうしてもここ通らなくちゃならないの!」と新参者の私は思いましたが皆さんはそこが楽しいようで勿論、道路は全面封鎖してとにかく御柱様が通るのが一番という祭りなので誰も気にしないようでむしろ喜んで引いている様でした。

 そして「里引き」もクライマックスで最後は神社の階段を何とか今度は引き上げなくてはならず、狭い境内で危険なので流石にそこは役員だけで引き上げなくてはならない様で「さあっ!最後だから皆、気合いれて行きますよ!」と最後の木遣り歌に合わせて一気に神社の安置場所に引き上げて無事、奉納しました。

 後日、安置した御柱4本は「建御柱」と言って重機を使って無事に神社の4隅に建てられ又、6年後までそこで鎮座します。

 いや~初めての御柱祭でしたが聞きしに勝る天下の奇祭(良い意味でです)何百年も受け継がれてきた祭りのほんの少しですが経験させて頂いて本当に凄いお祭りだと心から思いました。又、6年後、私がまだ元気だったらまた引かせて頂こうと思います。

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