山のはなし
雑誌の取材に同行して天竜の山に行ってきました。テーマは「山のはなしをしよう」というものですが全国の山の話を順番に聞いていって現代の山の事情やそこで暮らす人々の様子、山の恵みを受けながら仕事をしている人達の話を聞こうという内容になっています。
現在の日本の山が抱えている問題の一番は木材の需要が乏しく間伐が進まない為に山の荒廃が進んでいると言う事です。国は国産材の流通率を50%にまで上げるべく色々な対策を打ち出していますがまだなかなか効果が出てこないのが現状です。
私はこの問題は農業とも通じるところがあり同じ構図があるような気がします。つまり農産物にしても林産物にしても海外の安い品物が流通しており中々その中に割って入る事が出来ない状態です。
私は長い目で見てこの様な状況が続くのは決して良い事ではないと思います。日本は東西に長い小さな島国です。かつては美しい森林と田畑に囲まれてつましく生活していた日本人が時代の変遷と共に経済発展の波に飲み込まれて次第に海外の豊富な品物が輸入されて国内に溢れかえり人々は自給自足の生活を次第に忘れ安いお金で買える海外の作物や品物を購入するのが当たり前になってしまいました。
気が付けば、元からあった田畑や山林は荒廃し一次産業は衰退し一見、華やかに見える3次産業やIT産業が人々の憧れの職業になりそれが更なる田畑や山林の荒廃に拍車をかける結果になりました。
しかし、私は今の様な産業の構図が私達の未来にとって好ましい状況だとはどうも思えません。様々な理由により海外からの物流が止まった時に我々日本人はこの国の資源に頼って生きて行かなければなりません。
基本的にどこの国でも自国の恵みを生活の糧にする生活を送るべきだと私は思います。その上で余力があるのなら海外にその技術や産物を輸出すれば良いと思います。まずは自国の資源で生活の基盤を整えるべきです。単に価格が安いからと言って健康被害を及ぼす可能性がある食糧や資源を身の近くに置くのはとても怖い事だと思います。
未来の子供達にかつて美しかった日本の風景や資源を引き継ぐ責任が我々にはあります。なんて事を考えてしまいました。
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