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2010/11/01

1400年の時を刻んで・・

元興寺屋根裏探検 019 元興寺屋根裏探検 044


 先日、奈良へ行って来ました。奈良は今年、平城遷都1300年祭が行われており多くの人で賑わっています。しかし、我々は別にその遷都祭を見に行ったわけではなく、知り合いの林業家や大工さんたちと一緒に国宝の元興寺(ガンゴウジ)を見にいったのです。

 普段は国宝として非公開となっている元興寺禅室の屋根裏を30分間だけ見せてくれるというので林業家の知り合いに予約して貰って一緒に見学させて貰いました。

 この元興寺は平城京遷都に際して建てられたものではないかと言われ諸説があったようですが今回、この元興寺に使用されている部材を測定したところ更にその創建(西暦718年頃)から遡り西暦590年頃の飛鳥時代に伐採された檜が使われている事が分かりました。つまりこの木は1400年余りの歴史を刻んで今でも現役として建物を支えている事になります。

 勿論、全ての木がその時代のものではなく幾度となく修復を加えられて現代に受け継がれてきたのですが、それでもその姿は昔の面影を現代に伝えています。

 今回、平城遷都1300年祭に際して国宝「元興寺」屋根裏探検と称してこのイベントが行われたのですが、我々がこれを見て、では具体的に何か分かる事とか役にたつとかとういうものでは無いのですが、何か感じるものがあるのではないかと思って屋根裏に乗り込んだのです。

 最初に受付で受付を済ませヘルメットと何故か懐中電灯を受け取り一通り注意事項を聴き終わったら仮設階段を登っていよいよ屋根裏部屋に侵入です。

 ボランテアの若い女の子が先頭に立って色々と説明してくれ、もう一人屋根裏には中年のボランテアの方が待機していて色々と説明してくれるのですがそこはそれ、何せ大工と工務店と設計事務所の集まりですので説明なんか聞きゃしない。「何だこの継手は、こりゃ後からくっつけただな・・バカいえお前にこの継ぎ手の意味がわかるかよ・・・」云々・・・しまいには説明してくれていたガイドの方が「あの~建築関係の方ですか?」と若干迷惑そうな声・・・「スミマセン、つい夢中になてしまって・・・」「ヤッター、国宝に触ったぞ俺」「止めなさいよ本当に・・・」等々、あちこちデジカメで撮りまくり慌ただしく30分間が過ぎて行きました。

 丁度、台風が通過したばかりで天候が悪く生憎の雨空でしたが貴重なものを見た想いがします。その後、近くの会場でこの元興寺の昭和大修理の模様を専門家が解説してくれるというので慌てて会場に駆けつけて眠い目をこすりながらその模様をしっかり聞いて来ました。

 えっ?屋根裏を見た感想はどうだった?ですか・・・そうでうね正直言って非常に庶民的な改装のような印象を受けました。正直、国宝でもあるし、もしかしたら「世界最古の木造建築物と言えるのかも知れない」なんて意気込みがあって緊張して望んだですが元興寺そのものの歴史が繁栄を極めた飛鳥時代から徐々に衰退をし僧坊として用いられ質素で庶民的な建物として正に庶民が支えていった建物として存続したようです。

 ごく私的な見方ですが屋根裏もそうした背景からか見えない部分は物置として使われていたり、あちこちから集めてきた部材を繋ぎ合わせて使っていたり意外と見えないところは工夫して繋いでいました。まさにお坊さんが托鉢を糧として暮らしていたようなそのままの雰囲気が漂っていました。

 そしてこの寺がそうした歴史を背景としてユネスコの世界文化遺産のひとつとして登録されているという事実をもっと誠実に受けとめなくてはならないと感じましたね。1400年前のキコリが1本の檜を切り出し、そしてろくに道具を持たない職人達が建築用材として加工し飛鳥寺の部材として建てたものが大切に移築されて修復を繰り返しながら1400年の風雪に耐えてきたという事実、これは日本人として世界に誇れる事だと思います。

 文明が発達し便利さも極限にまできたような気もする現代社会ですがたまには1400年前の木の囁きに耳をすませてみるのも癒されますよ。

コメント

電動工具が無かった時代に家を建てるのは、数年~数十年掛かりの事業だったようですね。現代でも400年掛るスーパー堤防は論外ですが。

一度、電動工具なしでログハウスを組みたいですね・・・素人の思いつきです。ご勘弁下さい。ご飯食べられなくなりますね。

ところで、建築関係の視察だと思いますが、ログハウスに役立つ先人の知恵も見つけられたと思いますので、是非、生かして下さい。

八富士さん、こんにちは。
ログハウスも昔は斧ひとつで造られた訳で・・・我々もその伝統を受け継いでいかねばなりませんね。

元興寺。懐かしいです!!奈良町を歩いているとき、偶然見つけてふらりと入ったら、当時のままの屋根瓦も残っているという由緒あるお寺でした・・・僧堂の雰囲気がしんとしていたのがとても印象的でした。屋根裏になんて、すごい!!

寺岡さん、ご無沙汰です。
そうなんです。普段は非公開なのですが今回は特別に公開されたんですよ。
1400年前の職人の想いが込められていてまるでタイムスリップしたようでしたよ。

この屋根裏に昭和の修理の際の職人の落書きがあるようですが見てきましたか?

tairakuさん
ハイハイ、勿論見てきましたよ。戦争の時代だったので水上飛行機の絵が描いてありました。これも時代の反映ですかね。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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