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2009/06/08

自然の営み、人間の営み

 仕事柄、木を扱う人達と会う機会が多くて色んな人達と話をします。木を扱う人達は熱心な人が多く、いつも熱く議論を交わすなんて事もあって時々熱くなりすぎて激論を戦わすなんて事になることもしょっちゅうです。でも、それだけ真剣だということです。

 何故、真剣か?皆さん、国産材の流通に頭を悩ましているのです。私も含めてですが何とか外国からの輸入材に頼らず国内の木を流通させたくてどうしたら良いか激論を交わしていると言う訳です。しかし、一度、消費者からそっぽを向かれたものを取り戻すのは大変な事です。それは木の世界に限らず消費者から一度、信用を失うとそれを取り戻すのは時間がかかります。それはその時代の人間の営みが変化していると言う事もありますがそれも時代の流れなんでしょうね。

 しかし、森の木達にそんな事は関係ありません。彼らは淡々と時を刻むのみです。長い年月、人間の営みを見続けています。私が取り組んでいる月齢による伐採方法、これはオーストリアのエルヴィン・トーマ氏が提唱した伐採方法で冬の月が欠けていく時に伐採し山で葉枯らしをした木は良い木になるというものです。

 もともと戦前の日本でも行われていた伐採方法なのですが戦後、強制乾燥炉の普及により一年中、伐採した木が流通するようになり口伝がすたれ忘れられていました。これなんかも自然の営みには関係なく人間の営みの都合で勝手に人間が変えてしまった事なんですが別にこれで木が変わった訳ではないんですね。木は変わらないけど人間が勝手に木の性質を変えたと思い込んでいると言ったほうが良いかも知れません。

 最近、経済の破綻によりよりエコにシンプルに生きようというする人達が増えてきました。IT産業に携わっていた人達が農業を始めたり、誰に聞いたのか忘れましたが歴代の宇宙飛行士達が地球に戻ってくると皆、農業を始めるそうです。宇宙から見た地球は初めてそれを宇宙飛行士達が見た時から20数年、明らかに緑が少なくなってきているそうです。だから、宇宙飛行士達は地球に帰ると危機感を感じて農業を始めるという事のようです。

 それくらい自然の営みが変化しているというこどですね。それが人間の営みによってもたらされたものなのか、自然界のただの変化なのかそれは分かりません。しかし、私たちが地球上に暮す以上自然の営みに逆らって生きるのはどう見ても得策ではないように思います。

 文明の発達と自然の営みとが旨く調和されるのが理想ですがどうも相反するような気がするのは私だけでしょうか。科学の発達により、より自然豊かな暮らしが営めるようになるとそれはとても科学の発達に感謝するのですがどうも科学の発達は戦争や争いの種を作っているようでどうもしっくりいきません。

 自然の森に立つ木の命を自然の営みに逆らわずに頂いて物造りをする。それはとても豊かな暮らしを送れる事になると思うのです。農業も全く同じですね。手間をかけて作物を栽培し自然から栄養を頂き、それを自分たちが生きる栄養として頂く。

 それはとても自然な事です。自然の営みに逆らわず旬な時期に旬なものを食べる。それが自然の営みに逆らわずに暮すという事です。

 森の木も同じ、母樹から落ちた種が土にもぐり芽を出す。母樹は何れ年老いて倒れその若芽の栄養の元になる。我々、木に関わる人間はその木の命を少し分けて頂いて自分達が暮す家や家具の材料に使わせて貰う。

 しかし、その木の命を頂くにも作法があります。作物と同じように自然の営みにしたがって木が「伐ってもよいよ」と言ってくれたときに伐らせて貰う。そして生まれた森の中で養生期間を置いて充分その命を枯らしてから使わせて貰う。それが長い期間生きてきた木への礼儀です。自然の営みに逆らってはいけません。これからはそう心掛けて暮らそうと思います。

コメント

アメリカで石油が使われだして僅か150年!既に埋蔵されている石油の多くを使い半分以上消費されたと言われています。原子力や太陽光発電など物を作るのも全て化石燃料に依存しています。
このため石油が枯渇すれば自然と昔の生活に近づいて行くだろうと思っています。さて、人間が木に求めていたものは
建材や家具それに燃料などですが、
実際には景観であったり、土地を豊かにしたり、またそこから流れる川、海を豊かにする役目も担ってきました。
残念ながら心ある少数の人だけでは世の中は中々変化しません!
ですが丁度産業の転換点を迎えた今、政治主導で大きく変えていくチャンスだと思っています。もう直ぐ国民に取り付いた寄生虫(政治家、官僚、経済人)が消え去っていくでしょうから、そこが狙い目ではありませんか?里山整備によるメリット色々あるのですよね! 観光にも、人の育成にも、、、

リンクを希望された方、
申し訳ありませんが希望しませんので削除させて頂きました。ご了承ください。

泉原原人さん、こんにちは。
そうですね。石油依存型生活は循環の無い消費を意味しておりその先に見えるのは資源の枯渇です。
里山整備は循環型生活を復活させるきっかけになります。多くの人に触れて貰いたい自然です。

国産材の消費促進ですが、あと20年もすれば石油が枯渇するのですから、そのことを先取りした取り組みが良いと思います。地産地消です。但し、それは材料だけでなく住宅の工法など持続可能(補修など含め伝統あるものに)する必要があると思います。石油に依存した加工、材料では無くなった時通用しませんからね!そうすれば賢い人は振り向いてくれるでしょうし、良いものを提供し続ければ必ず広がるはずです。そう思うし、そう願いたいです。内外装を含め現代の良さを取り入れて、でも日本伝統もしっかり継承する建物が生き残ると思います。

泉原原人さん、こんにちは。
そうですね。エコの第1歩は地産地消ですね。その上で田舎ならではの暮らし方に合う家造りが大事です。八ヶ岳での暮らし方、自分の暮らし方にあった家造り、これがキーワードですね。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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