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2006/07/01

自然のポテンシャル

P1010123 1週、森の囁きをお休みさせて頂いて北海道を仲間達と研修を兼ねて廻ってきました。目的は北海道における新月の木の活動状況を見るのと活動の普及を兼ねたものでした。訪ねたのは帯広から北海道に入って、新得、富良野、釧路と廻って帰ってきました。この旅では訪ねた所で様々な人に会って自然のもつ力(ポテンシャル)の偉大さを改めて認識させられる旅となりました。

富良野では東京大学演習林に入り80年前に開拓民達が直面したであろう時代そのままの原生林の姿を目の当たりにして倒木の上でしか更新できない幼木のけなげな姿に感動しこれが自然界の掟である事を知らされました。

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その後、新得の新得協働学舎にお邪魔して昨年、今年と2年続けて日本人として初めて世界一になった「さくら」というチーズの製造過程を見せて貰いました。代表の宮嶋氏は大変、自然のポテンシャルを科学的に解明される方でそのチーズ造りには自然のポテンシャルを随所に生かした製造工程を施しています。先ず、驚いたのが牛舎が全く臭くない事、虫も全然飛んでいなくてなにより牛を繋いでいないのです。牛達は厩舎に勝手に寄り添って過ごしておりその顔はどの牛も驚くほど穏やかで私がいつも見ている厩舎で繋がれて餌を食べている悲しげな牛の表情とは全く違うものでした。この厩舎の下には大量の炭がひかれており特殊な土壌処理がされている為に匂いも虫も寄ってこないのです。その方法は極めて自然の力を利用したものです。この牛から取れる牛乳がこの世界一となったチーズの秘密に繋がっているのです。

そして、最後にこの文章の最初に掲示した写真は釧路の斎藤牧場という牛が拓いた牧場で有名な所です。牧場主の斎藤さんは寒冷地の厳しい荒野での牧場経営に行き詰まりある日牧場に立っている1本の木に登りどうすれば良いのかボンヤリ牛を眺めながら考えていました。牧草を食んでいる牛を見ているうちにフト気が付きました。そうだ、牛にまかそう!自然のままに放り出してみよう!こうして石だらけ、木だらけの牧場の構想が固まりあとは牛頼み・・・その結果どうなったか?牛達は自分達の意思にそって朝、勝手に起きだして山の麓から徐々に牧草を食べながら頂上を目指します。そして夕方誰に追われるでもなく自分達で群れをなして勝手に厩舎に戻ってきます。群れの中には雄牛がいるので周辺の牧場が軒並みクマに襲われる中、斎藤牧場では1頭も襲われる事は有りませんでした。見事に雄牛が群れを統率しているのです。こうして山肌をそのまま生かした牧草地は牛達が勝手に食べて勝手に排泄した糞で見事に自然のサイクルが出来上がり美しい牧草地になって行きました。実際に会った斎藤さんは本当に時代の重みを顔ににじませたいい顔をしたオジイサン(失礼!)でした。「オリャ何もしてない、牛達が勝手にこの牧場を作ってくれたんだ」と言われ今でも4輪駆動の車を運転して我々を牧場の中まで案内してくれました。牧場の中にまともな道なんてありません。まさに山の中を勝手に上がっていくといった感じでした。それがまた気持ちよく、途中の川で冷やしたビールとジュースを振舞って頂き牧草地をボヤ~と見ていたらこの写真の牛達が牧草を食べながら上がって来てすっかり囲まれてしまったと言う訳です。牛達は我々を気にするでもなく「邪魔な奴だな~」ってな顔をして通り過ぎて行きました。ただ、雄牛だけは気を付けるように注意されました。群れの雌牛を守るためにいつもぴったり寄り添っており下手に前に立つと角で突き上げられるからです。ここでも自然の力に逆らうことなく逞しく素直に生きている牛と人間が暮らしていました。

今度の旅で思い知らされて事は、自然の力を正しく理解してその力に逆らう事無く暮らすことこそ人間らしい生き方であるのだな~という事です。これが一番単純で簡単そうでこれが現代では一番難しい事かも知れませんね。

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