同じ地球に棲む仲間達
私達はログハウス建築という森の樹々の恵みを頂いてそれを家に造り替える仕事をさせて貰っています。もう30年近くこの仕事をさせて頂いて今、改めてそのモノつくりの仕事について感謝するようになっています。
もう昔ほど多くのログハウスを建築する事はなくなりましたが未だに依頼が尽きる事は無く、その魅力を感じて下さる人から貴重な依頼を受けてログハウスに限らず木の建築に携わらせて頂いています。
今更ながら人々は木に魅力を感じ、その恩恵を受けて暮らしていく事を望んでいる方が多い様に感じています。それはITが発達し情報が溢れる社会になった今でも続いています。いや、むしろそういう生活環境だからこそ昔ながらの無垢の木に囲まれた生活を望む人が増えている様な気がします。
最近、久し振りに東京の大きな本屋さんで面白い森に関わる本を見つけて読んでいます。その本を読んでいると今更ながら自然の森に立つ樹々の驚くべきその能力と不思議な力に驚かされます。
一つのエピソードを紹介すると皆さん、森の中に入った時に木の切り株を見る事があると思いますが時々、伐採された木の切り株が腐りもせずに生きている姿を見た事がありませんか?切り倒された木は勿論、葉もないわけですから光合成を行う事も出来ないので当然腐っていくものと思われますが何故か生きている切株が存在します。
何故、腐らないのか?死なないのか?それは地中に伸びた根が近くの仲間の樹々の根と繋がって栄養分を分けて貰っているからなんです。そう!森の樹々はそれぞれ1本ずつ勝手に生きている訳ではなく連携して助け合って生きているのです。時にはコミュニケーションをとる事も出来るのです!
私達が使わせて貰っているログハウスの原木となる杉の木は冬の月が欠けていく時に伐採し山で葉が枯れるまで乾燥させた「葉枯らし乾燥」という戦前から用いられていた伐採方法を用いた貴重な原木です。
それはどんなに科学が発達し情報を大量に得られる事が出来る様になったとしても変わる事のない自然の営みを利用させて貰って得る事が出来る貴重なモノ造りの智恵です。
その貴重な智恵はまだ人間が自然と平等に対話する事が出来て様々な事を自然から教えて貰う事が出来た頃から延々と語り継がれてきた貴重な智恵です。
森の樹々のライフサイクルは人間のライフサイクルよりはるかに長く100年、200年という時間は木々にとってはあっという間の出来事です。稀に1000年の樹齢と測定された木が樹高10mにも満たないなんて事も知られています。
現代の山の木は殆どが植林された人工林でそのライフサイクルは樹木を資源として利用するために70~80年で更新されていってしまいますが自然の森の木はそれよりもはるかに長いライフサイクルを過ごしています。
つまり人間が本来の木の環境を変えてしまっている事になります。そして新たに植林され密植されてさらに間伐を繰り返していく人間の管理する森林は本来、先述の森のコミュニテイとなる助け合いや対話という能力を持っていないそうです。
私はそれを否定するつもりはありませんが同じ地球に棲む生き物として彼等との正しい関係を保つという意味でももっと自然の営みに耳を傾ける必要があると思います。
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