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2009/07/06

映画「いのちの作法」が伝えること

  知り合いのペンションのオーナーがこの映画を東京で見て感動し、是非この映画を地元、北杜市で上映したいと思い、呼びかけに応じた10数人の実行委員が約半年に渡りこの活動にかかわり昨日、漸く無事、上映会が成功裏に終了しました。

 地元北杜市にある長坂コミュニテイーホールで開かれたこの映画会は当初、呼びかけ人のペンションオーナーが2回公演を希望していたのですが実行委員から「とても興行的に無理ではないか?いくらボランテア活動とはいえ赤字を出すわけにはいかない」との意見が大勢を占め取り敢えず無理ないところで1回公演でいくことが決定されたのですが応援してくれる団体から「是非、2回公演をやって下さい。赤字がでたら何とかするから」との励ましを得て、そこまで言ってくれるならやってみようじゃないかと思い切って2回公演に踏み切ったのです。

 その結果・・・何と昼夜共満席!お陰でスタッフは混雑回避に別の意味で嬉しいやら悲しいやら走り回る結果となりました。しかし、それだけに達成感のある活動となりました。しかし、大事なのは興行的に成功した事ではなくこの映画をこれだけ多くの方が興味を持って見に来てくれた事。実行委員の人の輪が昼夜満席、延べ800人以上の人に何らかの思いを伝える事が出来たと言うことです。知り合いの1人1人に実行委員の人たちが映画の事を説明しチケットを販売して歩いた結果がこの長坂コミュニテイホール始まって以来の昼夜満席という快挙を引き起こしたのです。

「いのちの作法」は岩手県の沢内村というところで昭和30年当初から行われた「生命行政」が現代にどう伝えられているかを描いたドキュメンタリー映画です。日本で初めて老人医療費の無料化を実施し乳幼児死亡率0を達成した山間の寒村である沢内村、何故この小さな村で世界的に注目される住民の命を守る「生命行政」を行うことが出来たのか?その事を広く呼びかけて問題提起していくことこそがこの「いのちの作法」の上映に関わった実行委員の役目ではないかと思います。

 福祉の問題は予算や法的整備や病院設備といった事も確かに大切だとは思いますがこの映画はそれだけではなく行政と住民が一体となった取り組みがいかに大切かと言うことを感じさせられる映画です。私はこの映画の原作となった「村長ありき」や「沢内村奮戦記」も読ませて貰いました。映画では表現しきれていない当時の住民や村役場の担当者の生の声をその本では知ることが出来、読めば読むほど考えさせられました。

 経済が苦しいから高齢者にも相分の負担をというのが現代の国の方針です。病院も各地で経済破綻して閉鎖され、医療過誤のリスクが高いといって産婦人課が全国的に消えていく・・・この状況が住民を幸せにするのでしょうか?経済状態が悪いからといって諦めなくてはならないのでしょうか?沢内村の人達も当初は貧困、多病、多雪に苦しみ多くの事を諦め乳幼児や老人達は病院に掛かることなく苦しんでいました。

 しかし、今では沢内村は予防医学といった意識が浸透し健康課が全住民の健康状態を把握し健康診断に代わり12日の人間ドックを無料で実施するといった活気的な活動が続けられ住民は笑顔が絶えず老人や子供、障害者と健常者がお互いに触れ合い地域一体となった福祉への取り組みが行われています。

 きっと実際にはここに至るには多くの課題を抱えながら一つ一つ乗り越えてきたんだろうと言う事が容易に想像されます。しかし、そこには「行政・住民一体、住民と徹底した対話」といったキーワードが必ず出てきます。行政と住民が対立するのではなく徹底的に話し合い。住民が何をして欲しいのかを聞き出す努力の積み重ねの歴史だったと聞いています。今の地方行政に最も求められるのはこの事だと思います。

 沢内村の住民も当初は全く口を開かぬ意見を言わない住民達でした。しかし、住民の家を一軒、一軒、廻り丹念に意見を聞いていった実績が今の奇跡の「生命行政」の源になっています。沢内村でも一度、老人医療費無料の弊害が出て「どうせタダだから」といった意識が芽生え一時期、有料化された時期がありました。その時、物言わぬ住民はどうしたか?老人達が自主的に署名運動を展開し医療費無料継続を嘆願したのです。その結果、再び国の方針に反して医療費無料化が実現しました。

 住民の意識が変わったのです。是非、この「生命行政」が全国に広がるように人々の輪が広がる事を願います。

コメント

お疲れ様でした!
本当にみなさんのパワーが大きく実を結んだ、という感じです。
おっしゃるとおり、これからどのように広げていくのか、また1人1人が問われていくのだ、と感じています。
それを「おっ、おもしろいじゃないか!」とか「手ごたえがあるぞ」とかそんな感じで進めていけたらいいですよね~

風路さん大変お疲れ様でした。
映画は大成功、これをきっかけとして多くの人達が興味を持ってもらって意識が変わって住民運動として福祉行政が変わっていけば本当の大・大成功!ですね。

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八ヶ岳でのログハウス生活 ---木の家設計施工 森のすまい工房(有限会社アシスト

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